第3話
春も中盤5月にもなると、日差しも心地よく感じる。
そんな中、朝から俺、美園和麻はある目的のために外に出た。
木々も新緑の葉をつけ、少し風も強く感じる。たまに自然を見ていると心が落ち着いてくるなぁと思いながら用事のためにかなり朝早く出たのでゆっくりと目的地に向かう。
その目的地とは・・・アニメ専門店だ。
今日は、うららか七変化のヒロイン「うらら」のアニメ登場4番目の変化衣装のフィギュアが限定発売される日なので、割と人気が高いアニメなので並ぶこと必須だろうと思い並ぶために早めに出たのだった。
現地に到着すると、早めに出たのにも関わらずもう10人くらいは並んでいた。「うららガチ勢」の同志よ、そんだけ早く並んででも欲しい気持ちはものすごくわかる。理解可能だ。
さて、俺は無事列に並ぶことが出来たので、スマホでうららを観て待つとしますか・・・
俺の家からアニメ専門店まではバスで30分。歩いて1時間半くらいかかる距離である。今日は俺のうららも手に入ったことだし、この4番目衣装でニュー衣装で俺の元に来てくれた記念にこのうららとデートでもするか・・・ということでバスで帰らずに歩いて帰ることにした。
心の中で「うららとのデート楽しすぎ」とか思っていると帰宅路にあった公園から「離してください!」という声が聞こえてきた。
声がした方を見てみると、見るからにやんちゃな兄ちゃんたち(2人)が一人の少女に絡んでいる現場だった。
「いいじゃんか。ちょっとくらい俺たちと遊ぼうや」
「君くらい可愛い子だったら、俺たちなんでもおごっちゃうよ~・・・!」
見た目もチャラいが誘い方もめっちゃチャラいな・・・とか思っていると少女は
「いえ、結構です。私はあなたたちとは遊びません。離してください」
ときっぱりと拒絶していた。それでも兄ちゃんたちはしつこく
「嫌よ嫌よも~?」
「好きのうち~!」
と、本当にはたから見てもウザい絡み方をしてて少女可哀そうだな・・・と思った。
・・・?ちょっと待てよあの少女・・・
めっちゃ「うらら」に似てる・・・!めっちゃ「リアルうらら」じゃないか・・・!
少女の見た目がものすごく、「うらら」似だ。うららが困っている・・・!これは助けないと俺は漢じゃねぇ。そんな使命感が一気に爆発したので俺はその「リアルうらら」の元へと向かった。
「おい、兄ちゃんたち」
「は?何お前」
ガンとばす兄ちゃんたち。別に怖くはない。そのまま俺は兄ちゃんたちに続けた。
「その子、明らか困ってるだろ。明らかに脈ないこと察すれよ」
そう言って、この鈍感野郎共と心の中で続けた。そうすると「邪魔すんじゃねぇよ!!」といきなりキレだして手を出してきたので、その手をかわして後ろ首を手刀で落とし暴力沙汰を回避した。もれなく2人とも気絶したので
「今のうちに逃げようぜ!」
といい、少女の手首を掴んで公園から出て行った。
公園からちょっと離れた道端で、少女は俺にお礼を言った。
「あの、ありがとうございます。見知らぬ私を助けてくださって」
ゆったりとした動作で頭を下げて言われた。
「いやいや、困ってる女性がいたら助けるのが男というものです」
ナンパで困らせるのも男ですが。と続けると、少女は「ふふっ」と笑ってくれた。
でも、正直、「リアルうらら」だったから助けたというのが大部分だが、笑ってくれたのでそんな余計なことは言わずに少女に俺も笑いかけた。
「君は、可愛らしい女性なので、お気をつけてください。それでは、俺はこれで失礼します」
リアルうららに正直、名前を聞きたかったが、助けてくれた相手もナンパ男だと思われたくなかったので、口惜しいがそのまま去ることにした。
「あ・・・」
少女は何か言いたそうだったが「本当にありがとうございました」と念押すようにお礼を言われて俺と少女は違う道を進んだ。
彼と反対方向の道を行き、初めの曲がり角でするりとまわり、胸元の服を掴んだ。
「・・・かっこいい・・・親切な方・・・」
顔が熱い。心なしか普段あまり聞かない心臓の音が今、バクバクと聞こえている。
これは・・・私・・・
「もしかして・・・」
恋・・・ってやつでしょうか・・・
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