13.春一番

⑴青天の霹靂

 Dans l'adversité il faut crier : de l'espoir ! de l'espoir ! et encore de l'espoir !

(友よ、逆境にある時は、常にこう叫びなさい。

「希望がある、希望がある、まだ希望がある」と)


 Victor Hugo









「鬼の霍乱だ」




 和輝が顔を真っ青にして言ったので、霖雨はこの世の終わりが訪れたのかと思った。明日は隕石衝突か、大洪水かと思うくらいの慌てぶりだった。


 平日のど真ん中、大学院は間も無く夏休みへ突入する。フリーターの和輝に長期休暇なんてある筈も無いので、今日も朝から出勤する筈だ。けれど、そんな和輝が何時に無く狼狽し、外出さえ儘ならない。普段では一寸見られないくらいの慌て方だったので、思わず霖雨はまじまじと観察してしまった。


 リビングには一汁三菜の見事な和朝食が並んでいる。それを作り上げた和輝は、部屋から出て来ない葵を呼びに行った筈だった。ノックしても出て来ない。傍目に見ていても、相当騒がしくドアを叩いていた。不機嫌そうな葵が出て来て、訳の解らない罵倒を始めるか、さもなくば流血沙汰になるのではないかと、霖雨は冷や冷やして見ていたのだ。

 しかし、葵は出て来なかった。




「出掛けているんじゃないか?」




 湯気の昇る味噌汁を見下ろし、のんびりと霖雨は言った。豆腐とワカメ、長葱が躍っているようで、霖雨は急速に空腹を感じた。


 和輝は狼狽しながら、テーブルに両手を突いた。




「絶対、部屋にいる!」

「何なんだよ、その根拠は……」

「気配がするんだ!」




 あの透明人間みたいな葵の気配が解るのだろうか。霖雨には甚だ疑問だが、野生動物のような勘を持っている和輝が言うのだから、信憑性は高かった。


 葵の部屋は固く閉ざされている。和輝は天岩戸の如く沈黙する扉の前で、何かを考え込むように顎に指を当てていた。


 突然、稲妻が落ちたように和輝は顔を上げた。妙案が浮かんだらしい。霖雨は無関係を決め込み、黙って手を合わせた。


 胸の内で挨拶をし、箸を手に取る。


 視界の端で、扉から距離を取った和輝が見えた。碌なことでは無い。黙って味噌汁を啜る。




「葵!」




 助走を付けた和輝が、扉に向かって駆け出した。その勢いを殺さぬまま、扉に思い切り右足を叩き付けた。耳を塞ぎたくなる雑音と、続くだろう罵声に備えて霖雨は耳を塞ぐ。鍵の掛かった扉を、裸足で蹴破ったのだ。霖雨には真似出来ない芸当だ。


 罵声は無かった。和輝が部屋に転がり込んだまま何の音沙汰も無いので、霖雨は流石に不審になって来た。様子を窺おうと、足音を殺して部屋へ近付く。途端、拡声器を通したような、冗談みたいな大声がした。




「葵!」




 家の中が、びりびりと震えた気がした。


 元体育会系の声量を嘗めてはいけない。鼓膜でも破れたんじゃないかと心配し、霖雨は部屋を覗き込んだ。生活感の無い殺風景な部屋の中、片隅に置かれたベッドだけが生命の存在を主張している。傍に跪いた和輝が、こんもりと膨れ上がったブランケットに向かって必死の形相で呼び掛けていた。


 そんな至近距離で大声を出されたら、比喩ではなく鼓膜が破ける。動転している和輝の肩を掴み、霖雨は代わってベッドを覗き込んだ。


 葵の部屋に入ったのは、初めてだった。図書館のように壁は本棚で埋め尽くされている。PC用の机は整然と片付けられ、ブラインドは閉じて室内に闇を落としていた。


 呼び掛けに反応は無い。霖雨がブランケットを捲ると、不機嫌そうに眉を寄せた葵と対面した。




「うるせーな。何時だと思ってんだよ」

「もう朝だ」

「――朝?」




 瞼を下ろしたまま、葵が問い掛けた。


 ゆっくりと上半身を起こす。和輝は病人を介抱するように身体を支えている。流石に元救命救急士の見習いだ。手慣れている。そんなことに感心していると、葵が放逐するように手を振った。




「怠いんだよ。もうちょっと寝かせろ」

「どうせ、夜中までPCを弄っていたんだろう」

「余計なお世話だ。お前に何の関係があるんだ。扉、壊していないだろうな。修理代は請求するからな」




 瞼を下ろしたまま、葵がぶつぶつと文句を言う。


 和輝が何時に無く動揺していたので心配したが、杞憂だったらしい。霖雨は溜息を一つ零し、リビングへ戻ろうとした。けれど、和輝が飼い犬のようにベッドの傍から離れない。


 お節介な性格だ。霖雨はその首根っこを掴んだ。




「ほら、大丈夫だっただろ。せっかく作った朝ご飯が冷めちゃうぞ」

「うん。でも――」




 和輝は、葵の前に掌を翳した。相変わらず瞼を下ろしたまま、葵は何の反応も見せない。


 瞼を上げることすら億劫なのだろうか。

 そんなことを呑気に思ったが、和輝が言った。




「お前、目、見えてるか?」




 霖雨は、言葉を失った。

 葵は忌々しそうに舌打ちを一つ零して、答えた。




「見えない」




 隕石が衝突したような気がした。その衝撃に、霖雨は言葉を紡げなかった。


 あの、神木葵だぞ。

 何時も飄々として、容易く本心を読ませず、口を開けば訳の解らない罵声を浴びせて、人を小馬鹿にすることを生き甲斐にしているような葵だ。

 殺しても死なないような葵が、何か病気に罹るとは思えない。

 むしろ、病原体も葵は避けて行くのではないだろうか。

 現実逃避のようなことを考えている霖雨の横で、和輝は酷く真剣な顔をして、問診を始める。




「症状は?」

「頭が割れそうに痛い。吐きそうだ。ついでに、眼球が痛い」

「目、開けてみろ」

「動かしたくない」

「解った」




 和輝はそれだけ言って、携帯電話を取り出した。救急車を呼んでいるらしい。


 霖雨は、救急車を呼ぶのに躊躇うことが多い。自分が大袈裟に捉えているだけで、実は大したことじゃないのかも知れない。そうして人に迷惑を掛けるくらいなら、自力で受診した方が良い。けれど、万一の場合は体裁を繕う時間も無い。これが人を救える人間との境界線なのかも知れない。


 状況を告げた和輝は、通話を切らないまま葵をベッドに寝かせた。見下ろす程の身長差も、ベッドに寝ていれば関係無い。和輝は先程の動揺は消し去り、既にすっかり落ち着いていた。反対に、霖雨ばかりが焦燥感に駆られる。




「何なんだ。葵は、何かの病気なのか?」

「病院で検査しないと詳しいことは解らないけど、大丈夫」




 横になったまま、眉間に皺を寄せる葵を見遣る。あの葵が、頭が割れそうだと言うくらいなのだから、常人なら叫び声を上げて悶絶しているかも知れない。


 和輝は葵に向け、殊更優しく言った。




「大丈夫」

「うるせーよ」




 もう寝るから。

 そう吐き捨てた葵は、黙り込んだ。

 ずっと瞼を閉じているので、霖雨には寝ているのか判別が付かない。和輝は救急隊員を迎え入れるべく通話を再開し、葵の額の汗を拭ってやっていた。


 何をするべきだろう。

 霖雨は逡巡するが、少なくとも、今此処で自分に出来ることは何も無い。

 仕方なく、霖雨はリビングへ戻り、三人分の朝食にラップを掛けて冷蔵庫へ仕舞うことにした。









 13.春一番

(1)青天の霹靂









 重症の部類に入る眼病というのが、病院が下した葵への診断結果だった。


 医師の説明を受けても霖雨には俄かに信じ難かったので、わざわざ手元のスマートフォンで検索する。


 視神経に異常が起こり、目で見た情報が上手く脳に伝わらなくなり、画像を認識出来なくなる。そして、視野や視力に障害が起こる病気だ。失明原因に一位の病気と知り、霖雨は指先から血の気が引いて行くような絶望感に襲われた。


 この病気は、急激に眼圧が上昇して発症する。頭痛や吐き気、眼痛、充血等の激しい症状が現れる。


 医師の言葉を復唱した和輝が、聞いたことも無いような単語を並べる。座学が壊滅的な彼に聞くのは自虐行為に等しいような気もしたが、霖雨は聞き直した。




「何て?」

「隅角が急速に狭くなって、閉塞状態になっているんだ。房水の排出が上手く行かないから、眼圧が上昇する」

「ごめん。解らない」




 和輝は嫌な顔一つしないで、壁に張られた眼球の断面図を使って説明してくれた。


 眼球の内部は房水という液体で満たされている。この房水は毛様体という器官で作られ、眼に必要な栄養を運び、シュレム管へ排出される。房水は一定の期間で循環し、眼球の形を保つ役割を果たしている。しかし、この病気になると何らかの原因で房水が過剰になり、視神経を圧迫してしまう。その為、視神経が潰された状態になる。


 医療に携わっていただけあって、中々に詳しい説明だ。霖雨は適当な相槌を打って、理解することを諦めた。日常生活において、眼球の構造なんて知る必要があるのだろうか。


 検査を終えた葵は入院が決まり、個室が宛がわれている。まさか、あの葵が病気に罹って入院する日が来るとは思わなかった。


 和輝は本人に代わって医師からの説明を受け、待合室で手続きの為に待機している。霖雨は気になっていることを問い掛けた。




「治るのか?」

「損なわれた視力は回復しない。治療は、症状の進行を遅らせることが目的になる」

「じゃあ、今現在、殆ど視力の無い葵はそのままなのか?」

「医療は日々進歩している。不治の病と呼ばれた特定疾患だって、今も研究が進み、有効な治療法が確立されて来ている」




 霖雨は肩を落とした。

 葵は、霖雨と同い年だった。それが突然、両目の視力を失ってしまったのだ。葵は平然としているけれど、自分ならば堪えられない。




「面会は出来るのか?」

「出来るよ。――俺が手続きして置くから、葵の傍にいてやってくれよ」




 和輝がそんなことを言って、泣きそうに微笑む。霖雨は胸が軋むように痛かった。


 昨日までは平然としていたけれど、本当は何か予兆があったのだろうか。ここのところ、葵は何と無く機嫌が悪かったように思う。あれは体調の悪さを隠していたのだろうか。そう思うと、葵がいじらしかった。


 大きな病院ではないが、葵は最上階の角部屋を宛がわれている。霖雨はエレベータで最上階を目指す。以前、病院で火災に巻き込まれたことを思い出し、霖雨はエレベータが早く到着することを願う。


 鉄の扉が開かれたので、霖雨は慌てて飛び降りた。擦れ違う人々が不思議そうな顔をしているが、気にしない。


 角部屋と聞いていたけれど、表札が出ていなかったので場所に迷った。そろりと扉を開けば、窓際のベッドで上半身を起こしている葵の姿を見つけた。安心して扉を開けると、音に気付いたらしく葵が振り返る。両目は包帯で厚く覆われ、痛々しかった。




「霖雨か?」

「よく解ったね」

「和輝なら、迷わないで真っ直ぐ入って来るからな」




 目が見えなくても解ると、葵が皮肉っぽく言った。


 今は鎮痛剤が効いているらしいが、顔色が悪かった。元々色白ではあったけれど、今はいっそ死人のような顔色をしている。こいつはもうすぐ死ぬのではないかと、霖雨は嫌な想像に襲われた。




「まさか、葵が病気で入院する日が来るとは思わなかったよ」

「人生は何が起こるか解らないな」




 口角を釣り上げた葵が他人事みたいに言うので、霖雨は返答に迷う。


 こんな時に、なんと声を掛けたら良いのだろう。どんな言葉も葵を追い詰めてしまうような気がして、霖雨は結局口を噤む。気の利いた言葉一つ掛けて遣れない自分の無力さが歯痒かった。




「退屈で死にそうだ。これじゃ、本も読めない」

「読み聞かせてやろうか」

「苛々しそうだな」

「ハラハラじゃなくて?」




 悪戯っぽく霖雨が言うと、葵は口角を釣り上げた。




「俺は常々、書籍の映像化には反対なんだ。文章とは文字の羅列ではない。其処にその時々の情景や感情を具に拾い上げて表現している。執筆者の記した言葉の意図を理解しないまま、勝手な自己解釈で世間へ知らしめる行為は、名誉棄損に当たるのではないかと思う」

「別に、其処まで気にしないだろ。自分の作品を一人でも多くの人に知って欲しいと思うのは、表現者の自然な欲求じゃないかな。そりゃあ、脳内に思い描いていたものを寸分違わず別の媒体で表現出来るかって言うと難しいと思うけど」

「絵画には絵画の、文章には文章の、映像には映像の美しさがある。執筆者は数多の表現方法の中から、文章という手段を択んだ。それを後から如何のこうのと、執筆者の意図を理解しないままに難癖を付けるなんて愚かな批評家のようじゃないか。それなら、初めから余計なことはせずに領分を弁えていれば良い」

「はいはい。お前はストーリー性ではなくて、雰囲気を重視しているってことだね」

「ストーリー性を否定している訳じゃない」

「お前は、結論ではなく、論議に意味があるんだろう」




 投げ出すように霖雨が言えば、葵の口元が弧を描いた。


 コミュニケーションにおいて、特に重要視されるのは耳から入る言語ではなく、動作や仕草、或いは表情だという。両目を覆われた葵を前にして、霖雨は彼の感情がまるで読めないことに気付く。けれど、彼が考えていることを理解出来たことなんて一度も無かったので、特筆する必要も無い。


 会話は其処で途切れたが、居心地の悪さは無かった。だが、朝食を抜いて病院へ駆け付けたので、少々空腹を感じていた。壁に掛けられた丸い時計を見上げると、既に時刻は正午を過ぎていた。和輝が中々遣って来ないことを思い出す。


 すると、同じことを考えていたらしく、葵が言った。




「あいつ、遅いな。手続きに何時まで掛かっているんだ」

「そうだね」




 見て来ようか、と提案しかけて、霖雨は口を噤んだ。


 自分は、葵を頼まれたのだ。安易に此処を離れる訳にはいかない。


 葵は退屈そうに、頭の後ろで手を組んで背凭れに身体を預けた。その目に見える筈の無い窓の外へ顔を向け、感情を読ませぬような淡々とした口調で問い掛ける。




「医師の診断は何だったんだ?」

「聞いていないのかい?」

「寝ていたからな。あのチビが代わりに聞いただろう」




 霖雨は答えるべきか、悩む。失明の可能性があるだなんて、容易く言えはしない。霖雨はどのような言葉で伝えるべきなのか解らなかった。葵から問い返された時に、正確な病状を答えられる自信も無い。何より、事実を伝えたら、葵はあっさりと命すら手放しそうで怖かった。




「和輝は大丈夫だって言っていたよ」

「あいつはそう言うだろう。腐っても医療に携わる人間だ。癌の告知が問題になるような国の出身で、容易く真実を口にするとは思えない」




 躱し切れないな、と霖雨は早々に白旗を振った。

 どのみち、葵は真実を耳にするだろう。誰が口にしても、葵は余計な感情は削ぎ落して、客観的な事実のみを拾い上げる筈だ。


 霖雨は諦めにも似た心地で、手元に記録した病名を告げた。すると、当たり前みたいな顔で復唱された。


 葵はさらりと答えたけれど、霖雨には何度聞いても覚えられる自信が無い。自分が知らないだけで、ポピュラーな名前なのだろうか。


 欠伸を噛み殺すような仕草をして、葵は言った。


 沈黙が堪えられず、霖雨は何かを言おうとした。それが空回りしたとしても、このまま黙り込むよりはマシだと思った。


 けれど、その時、見計らったように扉が開いた。




「身分証とか持ってないの?」




 此方の様子を確かめることも無く、いきなりドアを開けた和輝が真顔で立っていた。

 葵は声の方向へ顔を向け、一言だけ「無い」と答えた。




「治療費が嵩むぞ。保険には加入していないのか?」

「加入しているように見えるか?」

「石橋は叩いて渡る人間だと思っていたよ」




 やれやれと言わんばかりに肩を落とし、和輝は部屋に入って来た。


 後ろ手にドアを閉め、和輝は大袈裟なくらい足音を立ててベッドの傍まで遣って来た。呆気に取られている霖雨はそのままに、和輝は口を尖らせている。葵の表情は読み取れないが、平然とした様子だった。




「過去には戻れないからね、仕方が無いさ」

「保険会社を紹介してやるよ」

「余計なお世話だ。金なんて幾らあっても、あの世までは持っていけないからね」




 和輝は困ったように眉を寄せる。




「金に執着しろとは言わないけれど、金は必要だ」

「お前は金より愛を選ぶ人間だと思っていたよ」

「金ばかりでは空しいけれど、愛だけじゃ腹は膨れないんだ。理論と実践が両輪であるように、どちらも必要なんだ」

「どっち付かずは身を亡ぼすぞ。其処の優柔不断な男みたいに」




 目の見えていない筈の葵が、霖雨を指して言う。


 矢面に立たされる覚えも無いが、それでこの二人が平和ならば多少の犠牲は厭わない。というか、仲裁しなければ流血沙汰になりそうで恐ろしかっただけだ。


 和輝は部屋に置かれたパイプ椅子を引き寄せた。




「何にせよ、目が見えないんじゃ不自由だろう。当分は俺が世話してやるから感謝しろ」

「求めてねーよ」

「いいから、いいから」




 からりと笑って、和輝は大きく背伸びをした。




「とりあえず、入院の準備は必要だな。行って来るから、大人しくしてろよ」

「はあ。まあ、宜しく」

「うん。じゃあ、ちょっとの間だけ頼んだぞ、霖雨」




 跳ねるような軽快な足取りで、和輝は再度病室を出て行った。とても、同居人が失明するか如何かの瀬戸際にいるとは思えない。


 嵐が去ったように静かな病室で、葵が盛大な溜息を吐いた。




「何なんだ、あいつは。人が病気で苦しんでいるっているのに活き活きして、薄情な奴だねえ」




 苦しんでいるようには見えないけどね。霖雨はこっそりと思った。


 両目が覆われていても、其処に浮かぶ呆れが霖雨にはありありと解る。けれど、隠しようもなく嬉しそうな和輝の胸の内も何となく察することが出来る。




「葵ってさ、何時も独りで何でもしようとするし、実際に出来ちゃうだろ。あいつにとっては、寂しいんじゃないかな。多分、頼られるのが嬉しいんだよ」

「そんなことを言ったら、あいつだって他人を頼らないだろう」

「和輝は結構図々しいよ?」




 まあ、俺はそれが嬉しいんだけどね。

 霖雨が笑うと、葵は首を捻ったようだった。




「被虐趣味は無いので」

「俺だってねーよ」



 また、霖雨は笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る