若年性ほにゃらら疑惑
ふとした時に、やろうとしていたことを忘れてしまうことがある。まれにある。
あっれー? なにやろうとしてたんだっけ? となるわけだけど、不意に自分の脳みそがポンコツで心配になる。揮発性の記憶なのかな。
記憶することを刺激として
「いまは、アレをやろうとしてたんでゲスよ」とか言ってくれる存在が欲しい。自分を介護する細胞とかできないかしら。
という妄想と共に、効率的な思い出しかたがなかろうかと思うわけです。記憶というのは実に曖昧ではあるのだけれど、何かと結びついてより強固なものとして定着すると言われている。
そうゆうことなので、直前の行動や発言をちょっと巻き戻して繰り返してみたりする。という実に原始的で馬鹿らしいがなんとなく有効な手段を選択することにした。
この行動を採用する際には、自己完結してないところでやるとかなり痛みを伴うのでご留意されたい。
死に戻りとかすればてっとり早く……はない。記憶どころか肉体も失ってしまうのでその提案は否決することも忘れずに。
なので、ちょっと前のクシャミのところからやり直すことにしたんだけど。一連の行動を知り合いに全部見られていた。
羞恥で記憶どころじゃねーYO!
なんでだまって見学してたのよ。お金とるところだよ?
人間というのは常に食物を取り込み新陳代謝を繰り返すことによってその個体を維持しているわけなのだが、約一年でその細胞の殆どを入れ替えるということらしい。
つまり記憶を失ってしまえば、一年後にはまっさらな自分ができあがるということになるのかもしれない。
ここで、問題になってくるのが、ボクという個体がボクであるためには、なにに依るかということなんだけど。
記憶を失ってしまったらボクはボクなのかということだね。
つまり記憶を失ったボクが、一年後それを思い出せなかったとしたら、その過去のボクは現在のボクとは別人になりうるのかという矛盾を孕んじゃうんだよね。
肉体的にはリフレッシュ、記憶はクリーンアップ。では、そこにいるのは誰なんだ。
だけれども人格とか変わっても、記憶がなくても周りの家族や知り合いはきっとボクをボクたらしめようとするはずなので、と考えたら熱が出そうだよ。
つまり記憶を保持したまま異世界に転生した場合。
誰なんだ君は?
肉体はまっさらだけど記憶はあるんだよ。
頭の中がぐちゃぐちゃになった午後。
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