目が怖いですよ

 ボクはあまり視力が良くはないのでおおむねメガネに助けられて生活している。


 もうメガネっ子とも言える、言えるったら言える。究極的にはメガネに愛を語りだすかもしれない心意気だし。


 さて、いまでこそ愛用しているメガネだけれど、正直ないと死活問題であるのだけれども、視力が落ち始めた頃は必要なときだけかければいいかぐらいの気持ちでいたのだ。


 なんて浮気性なんだと当時の自分にお説教をしたいくらいまである。


 必要なときだけとか何様だと、心とか目とか曇ってると困るんだぞ。まぁよい。


 あるとき、洋画を映画館に見に行ったときのことだ、上映が始まる直前にメガネを家に置き忘れてきてしまったことに気がついた。


 もう、本当になにしてるのだろうね。もちろん画面はアホほど大きいので見るのには困らなかった、ちょっと細部がぼやけるぐらいだ。


 ちなみに字幕派である。面白かったよ音声の乗ってる無声映画。


 ある日、天下の往来を小粋な気分のボクは歩いて仕事場に向かっていた。


 ふと圧力プレッシャーを感じ、視線をあげると二十メートルぐらい離れたところで、変な踊りというか気持ち悪い動きの人を見つけた。


 視力が悪い人あるあるなんだけれども、色色と周囲が見えにくいので目を細めてなんとか見ようとする傾向がある。


 まぁそれで、危機察知もかねて頑張ってみようとはしたけれどもよく見えず、変人(決めつけ)と関わるのもヤバいしアレなので、道路の反対側へすすーっと移動して接触を避けたわけだ。


「なんで避けた? すげー目で見てたけど?」後に仕事先の上司にかけられた言葉であった。


 気づくようにアクションをしてくれた変人だったみたいだね。


 いやー。なにがとは言わないが、危ないからメガネはかけようねって話だ。


 上のふたつの事柄をふまえた結果、無事メガネっ子にジョブチェンジしたわけなんだけれど、そうなってくるとメガネの形状とか姿形が凄い気になってくる。


 という変なこだわりの結果、常にアンダーリムのメガネを掛けるに至ったわけだが、それは別の話だね。


 ちなみに今のトレンドはどうやったら本体をメガネに移すことが可能かということだからね。情報求む。


 こんなどうでもいいことを思い出すに至ったのは、道をしょぼくれて歩いていたら片方の目の前が突然真っ暗になったからなのだ。


 半ばパニックになりかけながらも観察すると、メガネのレンズにカナブンが不時着しやがっていた。


 ヘリポートじゃないんだぞと、レンズの中心にHとは書いてなかったはずなんだが。


 まさか心根が現れていたとでもいうのか、残念無念でござ候。


 虫にびびって悲鳴もでなかった日。


 あと、目にコンタクトレンズを入れるのが怖くてできません。

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