くちゃくちゃなるモノ

 ちぇけらっちょ。またラップがあの世に逝ってしまったよ。ボクの少しの脳みそを伴いながら。


 サ◯ンラップとも言う。一般名称としては食品用ラップフィルムが正しいのかな。


 この娘はどうゆうわけかボクの熱いラブコールをことごとく袖にしてくれる。


 あるときは取り分けたおかずを守護するために、またあるときはおにぎりをそのかいないだき、ときにはお皿と食べ物を抱擁して熱くなるまで通電される。


 こんなにもお役立ちだというのに。しばしばボクを裏切りがっかりさせるのだ。ツンデレなのかな?


 むしろツンしか感じないけど。


 どうしてか全体を上手く覆えなくて、端っこのほうに隙間ができてしまうことがよくある。


 武芸の達人よろしく絶妙な塩梅あんばいで見切りたいのに、気がつくと一部分が切られて失われている感じだ。


 深層意識の中で微妙にケチってしまっているからなのかなんなのかは分からないけれども、ちょっと足りないことが多い。


 のー、ちょっと足りない。かといって余裕を持って使うと長く余分がでてしまってもったいない。


 どうすれば良いんだ!

 とひとり軽く悶えるまでがセットだ。予定調和ともいう。


 それでも切り取ってしまって微妙にサイズが合わなくなってしまった娘を養う場所はないのだ。


 切ってしまったやつを保存できないのだ。どうせ、くちゃくちゃになっちゃうから。


 だましだまし使う痛みしかない。


 くちゃくちゃになって良いのは、じーばーの笑顔だけなんだよ、笑いジワのできる人生ぐらいでいいんだよ! 


 ああ、ボクはくちゃっくちゃになりたかったのかな。


 あと、使い切る最後の数巻きのところが、しわしわになってる上に、長さが微妙に足りない感じで尽きるのやめてもらえませんかねぇ。


 アルミホイルお前もだぞ、なに知らんぷりしてる。絶許。


 さらにいっちゃえば、あなたは本体の方に寄り添ってくっついて剥がれるところが分からないように擬態してみたり、ちょっと意味不明なところが裂けちゃったりと、お転婆にも程があると思うのだ。


 テープとか輪ゴムとかを使えば簡単に剥がせるよとかネットで見かけるけど、めんどくさいから。


 手のかかる娘ほど腹が立つのだ。ふう、言ってやったぜ。


 こんなに便利で生活に欠かせないものなのに、ボクの心をこんなにざわつかせる。


 そもそも戦争の際に弾薬とか火薬を湿らせないために開発されたものらしいけれど、ボクが戦場にもっていったら全部湿気て不発弾待ったなしだよ……。


 ぐちゃぐちゃだー。


 上手に使える人はきっとラッパーという職業の人だろうね。違います。

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