雨の日の憂鬱な重装歩兵
日本人に傘をさすのは上手ですかというアンケートをとったら、実に半数から“傘が下手”という回答を得たという調査結果を発見した。
ふたりにひとりは下手なんだよ、なんだか安心とともに悔しみも大盛りだ。
さて、ご多分に漏れず、私も下手グループに属する民であろう。
出かける日に雨が降っているとそれだけで気分が下降気味になるのも致し方ないというものだ。
仕事場には自転車で向かうのだが、雨の日はレインコートを着用して全身を鎧う。
それはそれはしっかりとアルマジロも裸足で逃げ出すほどである。
レインコートの上下に靴を覆うカバーと視界を確保するための装備だ。
マスクをつければ、これから毒ガス工場にでも突入するのではといった有様だ。
当然暑い、夏なんてサウナスーツを着ているのとさして変わらない。
肌色部分はメガネをかけている顔ぐらいだ、当然不織布のマスクを通した呼気でメガネも曇るので閉塞感まであって、お手上げ。
精神が軽く死んでいる状態だ。メガネにワイパーつけろよ、もう。
でも一日中濡れた靴下や靴、衣類で過ごすのは精神衛生上非常によろしくない。
着替えやタオルで対応するにも限度はある。
雨の日の荷物ほど煩わしいものはないからね。
しばらく前に自転車に関する法律の整備で、自転車に乗りながら傘をさしたりするのはNGであることもあって、取れる選択肢はほぼないのだ。
ある日のこと。
仕事場に到着早々「あれ、レインコートでいらしてるのにびしょびしょじゃないですか?」と言われた。
まって欲しい。ボクにだって言い分はあるのだ。
なんかフードの部分がくぼみになって受け皿のようになっていたようで、信号で停車した際に、堰を切ったように、突撃電流よろしく、首元の弱いところから内部に水が流れ込んできたのである。
「おおっうっ」これが外からは変化が見られないけれども、内部にダメージを与える内気功というやつか!? 違います。
またある日は、走ってきた車に顔面から水たまりの水をぶちまけられた。
当然、顔の周辺は先述の通り開口部となっており、破廉恥にもあけっぴろげなのだ。
「あっ、らめぇぇ」結果として伺いをたてられることもなく、勝手にボクの内部に侵入してくるソイツはノットなピュアなウォーター、つまりは泥水なのであった。
レインコートは頭頂部や背後からの攻撃には強いのだけれど、真下と正面からの攻撃にはまったくの無力なのだ。
つまり想定外の方向からの攻撃は重装歩兵と同様に無力であった。もう方陣とか組んで移動するしかないのか!
あ、雨の日はお休みにするのはどうだろうか?
ああ、レインコートが上手くなりたい。
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