6
考えごとをしているうちに、いつのまにか私は、坂のてっぺんまであともうちょいのところまで来ていた。
とそのとき、まるで冬のかと思うような、冷たい風が吹いてきた。
……しかもなんか、すべての方向から吹いてきている感じがする。上からも吹いてくるし、地面からも
指の先が冷たくなって、私は短パンのポケットに両手を入れた。
すると、ポケットになにか入っているのに気がついた。
ああそういえば、さっき
短パンのすべてのポケットを探してみるけど、
そのとき突然、ものすごい風が吹いた。しかも真下から。そんなわけないけど、地面から風が出ているみたいに。その風のせいで、私は葉っぱを
葉っぱは風に乗って、ひらひらと回転しながら、空の向こうに飛んでいった。
それきり風はおさまって、すぐにあたりはむんわり暑くなって、また夏に戻った。
……なんだったんだろう、あの風は……? なんだか、冬を少しつまみ
そんなことを考えながら歩くうちに、私は、坂の終わりの目の前まで来ていた。
やっと『たいら
坂道から普通の道になるとき、私は決まっていつも、脚がふにゃってなりそうなる。もう脚が完全に、
走り疲れて脚がへろへろだったけど、今日はぜんぜんそうならなかった。だってさ、こんなに坂の終わりを意識したことって、いままでなかったもん。だから、ふにゃっとせずに、じょうずに歩けた。
坂の終わりから家を目指して歩いていると、通りかかった
家からいちばん近い
だけど最近はそういうこともなくなって、通りかかっても完全にスルーだったから、ひさしぶりにこの
ブランコは乗るところが
ここでなにがあったんだろ……。坂の下の
……あ、でも、すべり台は大丈夫みたい。
私、そこまで
……あれ、……
女の子たちは、
しゃがみこんで
でも、そんな感じがしない?
終わりの終わりにやることだし、なにかを
かすかに『パチパチ』鳴るのがやっとの小さな火花は、女の子たちの顔を
だけど、どんな顔で笑っているのか想像できちゃうくらいに、女の子たちの声は楽しそうだった。
その横を通りすぎて、しばらく歩いたとき、私はふと、後ろを振りかえってみた。
女の子たちはさっきと変わらず、
私なんて、じっとしようとすればするほど手が
あんまりへたっぴすぎて、まえに友だちに、「ののっちはスゴ腕の
昔のことをちょっと思いだしているあいだに、私はもう、家の目の前まで来ていた。『あべこべ
坂を
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