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そこは、もとの坂道だった。
あんなに走りまわったけど、そんなに遠くへは行っていなかったみたい。ただ、同じところをぐるぐるまわっていたんだね。
さっきよりも強く明るさを感じて、私は空を見上げた。ブロック
今日は月がお休みの日だし、晴れて
「あ」と私は、思わず声を出していた。カラスさんのことをすっかり忘れていたことに、気がついたから。
あたりを見渡しても、カラスさんの姿はなかった。あたりは暗いし、カラスさんも黒いから、ただ見えていないだけなのかも。
そう思って私は、両手を口にそえて「カラスさーんっ」と声をかけてみた。でも、返事はなかった。きっともう、家に帰ったんだね。
私もはやく家に帰らなきゃ。
坂を
下を向いていると世界を暗く感じるのに、ちょっと上を見ただけで、それがぜんぜん変わっちゃうのが、なんだか不思議だった。
空を見ているうち、なぜか、頭のなかにオルゴールが浮かんできた。オルゴールの音は、星みたいにピカピカな感じがするからかもね。
次に、オルゴールのネジを巻くのが頭に浮かんで、……その次には、……さっき会ったバードウォッチングの人が浮かんできた……。
『……え……な、なんで……?』と考えて、すぐに
なんだか今日はいろいろな人に会った気がする。
……しかもみんな、変わった人ばかりだったような……。でも、そう思うのは、違わないけど、少し違うのかもしれない、なんて私は思った。
自分でもよくわかんないこと言ってるなって思うけど……、なんていうか、人は誰でも『自分は普通の人だ』って思っていると思うけど、ほかの誰かにしてみたら、人はみんな変わった人に映るんじゃないかな。
だって、学校の友だちのことを考えてみても、……うわぁ、この子変わってるなぁ……って思うところが、かならずひとつくらいはあるからさ。
みんな違う人で、みんな変わっていて、違うところがいっぱいあるけど、……やっぱりそれよりかは、同じところがたくさんあるよね。
今日会った人たちは、なにを考えてるのかよくわかんない人たちだったけど……、それでもみんな、
そんなふうにいろいろと考えてみて、それで私がどう思ったのかっていうと、『とりあえず、明日からまたがんばろう』だった。
いますぐがんばれたら、それがいちばんなんだろうけど……、……なんだか今日はもうクタクタで、……家に帰ったらすぐに寝ちゃいそうなくらいだから。
……それに、いろいろ昔のことを思いだしたりして、それでちょっとしゅんとして、今日はもうがんばれそうにない。だから、明日からがんばる。
どうしてそんなにがんばりたいかっていえば、やりたいことがひとつできたから。……そして、それをするためには、少しだけ
思ってたんだよね……最近の私はぐうたらで、昔の自分じゃなくなっちゃったみたいだなって。ただ時間だけが過ぎていくみたいで。それなのに、流れる時間はゆっくりっていうかさ。もともとそんなだったから、夏休みに入ってからはずっと、時間が止まったみたいに感じていた。
やっぱり前向きがいちばんって、私は思った。人と比べてとかじゃなくて、自分のなかで、自分なりに前向きでいたいなって。
大好きな
私は人間なんだ。私は私だよ。行きたいところには、自分で歩いて行かなきゃ。言いたいことは、自分の口で言わなきゃ。
生きてるとさ。いろいろ
きっと大丈夫だよね。上とか前を向いて歩いていれば。ゆっくりでも、たまに立ち止まっても。ときどき下や後ろを見ちゃっても。
歩いていればきっと大丈夫だよ。ヘーキでいられる。元気になれる。きっと大丈夫。
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