3
私は立ちあがった。
そして、それとは別に頭の
ずるいことはダメだけどさ、誰にも
そして私は決心した。
……ただカラスさんを
私はスーツの人に近づいていった。
近づくうち、その
スーツを着てるから、もっと年をとっているかと思っていたけど、あんがい若い人っぽかった。たぶんママとおんなじくらいかも。
でもやっぱり、スーツを着てる人だけあって、身だしなみはちゃんとしているみたいだった。
でも、ちょっとおかしなところがあった。
スーツの人は、右肩から白色のふといタスキをかけていて、そこには、ピンク色のまるっこい文字で、『ベビーシッターバンザイ』とデカデカ書かれていた。
それに、ネクタイのまんなかあたりに、女の子がしてそうな、ラメ入りピンクのかわいいヘアピンをつけていた。
まあでも、そんなにおかしくもないのかな……?
そういう会社の人なのかもだし。ヘアピンもけっこうかわいいし、センスがいいと思う。もし友だちが
私は気をとりなおして、ベビーシッターの人にさらに近づいた。けど、急にまた『
……人に話しかけるには、ちょっと失礼な距離かなって思うけど……、やっぱり怖いものは怖いから、私はそのままベビーシッターの人に声をかけた。
「……あのぅ。すいませーん」
ベビーシッターの人は完全に無反応だった。ただ、ぼんやりした表情で、自分の足元に目を落としつづけていた。
それならと私は、いつビックリしてもいいようにおそるおそる歩いていって、ベビーシッターの人のすぐ目の前に立ち、彼に向けて手を振ってみた。それでもまったく反応がない。それどころか、どんなに手を振っても、手のひらを目で追うことすらしなかった。
これじゃ
彼の右足に注目すると、
「あの……! すいません!」とけっこう声をはりながら、彼の顔のすぐ近くで手を振っても、効果はなかった。……もしかして立ったまま死んどんのか? なんて一瞬思うけど、さすがにそれはないよね。もしそうなら、どんだけ足腰強いんだって話だから。
おでこにデコピンしてやろうかとも思ったけど、さすがにそれは怖くてできなかった。
「あの、じつはわたしのパパ、ケーサツの人なんですよ」と、ウソを言ってみてもムダだった。
「……そのなかでもめっちゃ
この人、なんでこんなに私を
私は
そんで私は、彼の右の足首を両手でつかんで、動かそうとした。……んだけど、いくら力を込めてもビクともしなかった。まるで
「……あの……すみません……。足をどけてくれませんか……すこしでいいので……。あの……! すみません……! あの! ちょっと……! …………うーん…………」
……ていうか……やっぱり
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