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ジュニアといっしょにすごした日々は、まるで夢のような時間だった。おおげさかもだけど、世界の見方が、……ううん、世界そのものが変わった気がした。
家にいるのはもとから好きだったし、学校も大好きだったけど、ジュニアが家に来てからは、学校から家に帰るのが楽しみでしかたなくなった。
私は、自分の部屋を見られるのがちょっと恥ずかしくて、いままでは自分から友だちを
ジュニアにばかり構っていたような気もするけど、不思議とそのころは、いつもより勉強の
ひと言でいえば、そのころの私はやる気でみなぎっていて、なにをやっても
だけど、そんな日々も長くは続かなかった。
それは、去年の夏のことだった。
ジュニアとすごした夏は、それが最初で最後だったから、ジュニアが家にいた
その日もいまと同じように夏休みのさいちゅうで、
まだ夏休みは始まったばかりだったけど、その日までに私は、夏休みの宿題をほとんど終わしてしまっていた。なんか
今年だってけっこうヤバいもん。そうわかっていても宿題を始められない。
……きっとなんとかなる……って心のどこかで思ってるっていうか……現実を見ないふりしてるっていうか……まあそんな感じ。……一週間もあれば終わせるでしょ……三日もあれば……まあ一日ずっとやれば……みたいな。
そんな
まあつまり私は、長い休みが来るたびに宿題をあとまわしにしちゃって、それでいつも、休みの最後の日になってものすっごく
シャーペンのボタンをおでこにくっつけて、そのまま押しつけてカチカチ
そんな私が、夏休みの初めのうちに宿題をほとんど終わしちゃうなんて、どんだけ
でもけっきょく、その次の日から宿題をさっぱりやらなくなっちゃって、いつもどおりになっちゃったんだけどね。
それどころか、夏休みが終わっても、それからしばらく
それはともかく、宿題のほうもバッチリでほかにやることもなかったけど、お
もちろん私は、ジュニアに
ジュニアは恥ずかしがり屋さんなのか、家に来てから長いこと、
こんなのもう、うれしすぎだよね。
うれしすぎて、ちょっと涙目になるくらいでさ。気分はもう、完全にママだよ。この子を
私はこのころ、家の近くの本屋さんで
そのなかに、コトリたちは、たまに日光にあててあげないと、
ジュニアも女の子だし、身だしなみはちゃんとしていたいだろうなって、私は思った。
それに、こんなに晴れて気持ちがいいのに、日の光を
でもさ、いま考えると、ジュニアを閉じこめていたのは私なわけで、そんなことを思うのはいけないことなんじゃないかって、思うことがある。だけど、思わないでいるのも違う気がして、なんだか、考えれば考えるほどわからなくなってくる。
それはさておき。
その
夏などの
それで私は、どうしようかと考えた。最初は、トリカゴの半分を
しばらく頭をひねっていると、よしっこれならいけそう、ってやつを思いついた。私はすぐに自分の部屋を飛びだして、ママを探した。
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