6
あんなにうるさかったのに、近所の人は誰ひとり、表に顔を出していなかった。
ひっそりしてなんの音も聞こえない。
みんな意外とリアクション
しばらくそのままぼーっとしていると、頭の上から「かー」って声が聞こえた。私は首を思いっきりそらして空を見上げた。
カラスは変わらず電線にとまっていて、私のことを見下ろしている。
私はうつ
「ねぇ、まだやるの……?」
「そうだ」
「そろそろ帰りたいんだけど……」
「それがおまえの
「……。わかったよ……、わかりましたよ……、
私は体を起こしてぺたんこ
クルミはヒビひとつ入ってなくて、まるで私にケンカを売るように、すごく
その場に立ちあがり、私は足元を見た。
……それにしてもこのチューリップどうしよう……せめて片づけないとマズいよね……誰かが
とりあえず道のわきに寄せるだけはしておこうと思って、しゃがもうとしたとき、……どこからともなく……うめき声のようなものが聞こえてきた。
「……今度はなに……?」
私は身構えて
すると、少し坂を
夕日はまだ沈んでいないけど、あたりはいつのまにか、ちょっとビックリするくらいに
しかも、『
なんでこんなんなるんだろう。
目が暗さに慣れていないせい? それとも、夕日がプルプル
こんなに暗いなかでも、近くの景色はちゃんと見える。
地面のアスファルトの小さなヒビ
そのすべてが一色に染まっている。オレンジ色なんだけど、そうじゃないような、そういうへんてこな色に。
オレンジっていうよりも、……青色だけを抜いたってほうが近いのかもしれない。青なしの色。昼間の景色から青だけが消えてる。青なしの風景。まるでそういう絵のなかの世界みたい。
だけど少し遠くに目をやると、そこから先は別の世界だった。
絵は絵でも
色の違いは黒色の
こうして近いところと遠いところを見比べてみると、まるで、世界が
そんな景色だから、
その
前にのばした両手は、まるでなにかを探すように、ゆっくりとしたイヌかき
それに、ずりずりと足をひきずっている。
……もしかして、……ホントにゾンビ? ……ま、まさかね……映画とかゲームじゃないんだから……。……と思いながらも私は、無意識に、持ってたクルミを短パンのポケットにしまって、首を両手で
……あれだよね……ゾンビってぜったいに首からガブっていくよね。……決めてるのかな? あれみたいに……タイ焼きをどこから食べるか、みたいな感じで……。
……あれ? ていうか私もいつも……タイ焼き、首から食べてるよ……、……なんかやだな、ゾンビとおそろいとか、……やめとこ、首から食べるの……、今度から……そうだな……お腹から食べることにしよ。
……ていうか、いまはそんなのどうでもいいよっ……。……ほんとうにゾンビだったらヤバいよっ……、……だって私、ピストルとかどこで買えるのかわかんないしっ……!
私がそんなふうにあれこれ考えていると、突然、
首をぎゅっと押さえていたせいで、まったく腕を使えなかったから、ほとんど
……ほんの一瞬だけ……、……意識が遠くなった……。まるで、眠るすんぜんみたいな感じに。でも、その感覚はすぐになくなって、代わりに、頭がヤバいくらいにガンガンしはじめた。
「……ぁぁ……う……ぃ……痛い……うぅ……めちゃめちゃ……痛い……
「…………チンパン……ジー……ア……カゲ……ザ……ル…………オラ……ウータン……ニホン……ザル……ア……イ……ア……イ……テナガ……ザル……ゴ……リラ……メ……ガネザル……マント……ヒ……ヒ…………キツネザ…………ル…………」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます