見せてみろ
1
まあ、そんなこんなでけっきょく、お昼ごはんは抜きになったわけだけど、不思議と私は元気で、こうして思いだしてみるまで、お腹がへっていることに気がつかないくらいだった。
それどころか、なんにも飲んでないはずなのに、いつのまにか
ヨダレが復活してる。バッチリ復活してる。そこまで好きじゃない、キノコとか、こんにゃくとかを頭に思い浮かべても、口のなかにたまるくらいに。
ただ、お腹がへってるだけ。体は普通だった。むしろ
……でも、だけどね、たたかうとなれば話はべつ。
私は、いまに意識を集中して、カラスを見上げた。
「ね、ねえ……た、たたかうなら夜にしない? そのほうが……あの……ほらその……なんか、カッコいいと思うし…………よくわかんないけど……。……九時とかに待ち合わせとかしてさ……」
カラスはそれに答えず、また私のことを、
……もしかして、たたかいはもう始まってる……?
あれかな……こっちからいったほうがいいのかな……?
やっぱ逃げようかなと思った瞬間、まるでその考えをテレパシーで受けとったみたいに、カラスは電線にとまったまま、バサバサとおおきく
……けっこうな迫力だ……けっこうあれかも……このカラスけっこう強そうかも……。
私は
するとそのとき、どこからともなく
…………なんだか、その
私はカラスをじっと見たまんま、足音のする方向を知るために、耳を
すると、坂をちょっと
あたりがだいぶ
男の人らしい。
なんか背がめっちゃデカい。二メートル近くくらいはありそう。
バスケとかバレーがすごそう。あと、
……そんなことよりも……、……男の人は……、まるで、ゼンマイで動くブリキのロボットみたいな歩き方をしていて、……そのまま、こっちにゆっくり近づいてくる……。
……あ、もしかしてあの人……パントマイムの人?
でも、それだと
モザイクみたいなチェック
ベージュ色でツバのまるい、
首には、白くて大きな、まるで
そのカメラをのせて使うためのやつなのか、左の腰には、白くて長い
リュックの横っちょには小さな
さっきは
なんか
右手には、まるでカボチャみたいにゴツゴツした
ここまでで、おかしなところはない。……でも、ひとつだけちょっとおかしなところがあった……さっきは普通の
だって
なんでか知らないけど、……ゲタを
かなり長いこと
あと、脚がすごく長い。ハイヒールとか
……まあ、そんな感じで、だいたいはバードウォッチングって感じの
……もしかして、あれなのかな……? ゲタで歩きづらいのかな……? 背伸びして無理して
ていうか……なんか関係あったっけ……バードウォッチングとロボットって……?
顔は、その辺にいそうなおにいさんって感じ。……でもなんか、すんごい無表情だった。いまにも目からビームを出しそうで怖い……。
なんかヤバいぞ、どうしよう、と考えているあいだにも、男の人はずんずん近づいてくる。……たぶん、この人には勝てない……逃げなきゃ……、でも、その瞬間にビームで
そのうちに私は『おや?』ってなった。なぜって、男の人はなんだか上を見ているみたいだったから。
男の人は私のとなりで立ち止まると、ポンコツな
カラスを見ているらしい。
ていうか夕日が
いっぽうのカラスは、ただじっとしているだけだった。てっきりしゃべりだすと思ったのに、ただ
そしてそのまま、時間だけが流れた。七分くらいそうしていたと思う、たぶんだけど。なんか……ダルマさんが転んだみたいだった。
でもいきなり、それが終わった。
カラスが突然、あきらかに人の声で、「かー」と鳴いた。というか言った。
すると男の人は腕をおろして、ぶつぶつと
……たぶん
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