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私は、
そこへはなんども行ったことがあった。
ママとよく行くし、友だちともたまに行く。
けっこう人気のお店だからか、知ってる人ともよく会う。
こないだなんてすごいビックリしたよ。だって、となりに
校長先生ってなんかすごそうな感じがするから、
いつもスーツっぽい服着てるしね。
でも、そのときの校長先生はアロハシャツと短パン姿で、まるっきり別人みたいだった。
校長先生は
高校生くらいのおねえさんで、からあげをくれたりしてやさしい人だったけど、……私はそのおねえさんに、めっちゃイタズラされた……。
くすぐられたり……お
校長先生はそれを、すんごい恥ずかしそうにしながら
私はそれを見て、校長先生も人なんだって思った。
……いや、人じゃないなんて思ったことないけど……、……なんていうか、
学校で見てたすごそうなのは、もとからじゃなくて、ちゃんとしてるからなんだって、がんばってるからなんだって。
それからの私は学校で、校長先生の話をまじめに聞くようになった。
まえは、……ちょっとひどいけど……、朝のニュースを聞いてるくらいにしか思ってなかったんだけど、いまは、
校長先生だけじゃなくて、『たたき
だから『たたき
そんなわけで、
どれくらいかっていうと、かってに冷やし中華のテーマソングをつくって、鼻歌を歌っちゃうくらいに。いつもは
お腹がへってきてたし、テンションもあがってたから、私はいつもの六倍くらいの速さで歩いていた気がする。それはちょっと言いすぎかもだけど、気持ち的にはそれくらいだった。
そんなふうなら、あっという間に『たたき
道の途中で、私は、思わぬ足止めを
しかも、いちばん食べたくないもののせいでね。
私は、街に流れる大きな川に
この川は、ここからずっと遠くの山のなかで生まれて、たくさんの街を通ってこの街まで流れてきて、この街を真っ二つに
じっさいには見たことないからよくわかんないけど、近所にある
川はちょうど
だけど、川の近くだから風が気持ちよくて、それに
アスファルトの道だけどクルマが通れないようになっているから、ここを通ると、かならずと言ってもいいほど
道を少し歩くと
緑の葉っぱのあいだから日光が
どんなに歩いても、どこから見上げてもそうだったから、太陽がでっかくなったように感じた。それなのにひんやり
太陽はいつもくらいの大きさなのが、いちばん熱くなれるのかなぁとか、ぼけぇーっとそんなことを考えながら私は歩きつづけた。
そのあいだ、ずっと上を向いたまま歩いていたせいか、私はなんども、『おっとっと』ってなって転びそうになった。しかもけっこうな距離を『おっとっと』って移動していたはずだから、もしいつもみたいに人がいたら、誰かにぶつかっていたかもしれない。
桜の行列を抜けると、日光がじかにふりそそいできて、どっと汗が出た。
それに、カミナリを近くで見たときみたいに、目の前が一瞬明るくなって、その次の一瞬には、まるで、世界が突然夜になったみたいに、あたりが暗くなった、ように感じた。きっと、急に明るくなって、目ん玉がビックリしちゃったんだね。
目がなれてくると、今度は私がビックリしちゃった。
世界はこんなに明るいんだったっけ、って。見える色すべてが
それから、
逃げていく水たまり。
あれっておもしろいよね。
どんなに追いかけても逃げちゃって、ぜったいに追いつけない。
確かに
ホントに不思議な水たまり。
私はあの水たまりが大好き。
だけど私はあれの名前がわからなかった。
だからそれを知りたくて、誰かに聞こうと思ってるんだけど、私はいつも、そのことをいつのまにか忘れてしまっていて、けっきょくいままで、あれの名前はわからないままだった。
だから私はとりあえず、あれのことを、『水たまりもどき』とか『水たまりの
でも、あんまりしっくり来なかった。
だって、移動したり消えたりして、ただの水たまりよりずっとすごそうだし、
景色のゆらゆらと、水たまりが逃げるのをじっと見ていたせいなのか、一瞬めまいがした。
まさか熱中症かなとも思ったけど、大丈夫そうだった。足元を見ながら歩いていると、めまいはすぐに
でも、家を出てからなにも飲んでなくて、
高くて楽しそうな声。
まるでコトリの鳴き声みたい。
声のするほうに目を向けてみると、川の手前の河原で、近所の子ども会なのか、
べつになにか特別なこともないはずなのに、私はそれに目を
足止めを
あんなに見るのも嫌だったソーメンだけど、『流しソーメン』っていうのに、私は心を
ちっちゃいころに、なんかいかやったことがあって、どれも楽しい思い出だったから。
これはたぶん、『
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