第07話「おまえを殺すのは容易い! しかしボクたちが狭い地球で争ってる間も環境破壊は進んでいる。地球温暖化、海洋汚染、森林伐採……だから今は争ってる場合じゃない、手を取り合って協力する時なんだ!」

 人喰いワームから逃げたあなたは、洞窟の入り口に来ました。


 あなたは、女の子の服を溶かしたいスライムです。

 いずれは洞窟を出て、人間の女の子がたくさんいる街に行かねばなりません。


 あなたの体を洞窟の入り口から差し込む太陽の光が焼きます。

 ふいに影が現れ、あなたは声を聞きました。


「見つけたわよ。ドすけべスライムちゃん」


 人の記憶と知性を持つあなたは、それを『エロババア』と認識しました。

 無駄に露出度が高い黒革のボンテージ服を着た、アタマのおかしい熟女です。


「フフッ。エリックはアタシの美貌にメロメロのようね」


 あなたは内臓を吐き戻しそうな不快感を覚えました。


 しかし、エリックとは聞いたことのある名前です。

 先ほど捕食した魔道士の女の子が「エリック」と口にしていました。


「どう? アタシの服を溶かしたい?」


 あなたは、半透明なゼリー状の体をプルプル震わせて否定します。


「そうよね。溶かしたいわよね。エリックを捕食したんですもの。当然よ」


 あなたの否定に気づかず、エロ熟女は語りだします。

 悪役という種族には、なぜか自分の計画をべらべらと語る習性があるのです。


「あなたが捕食した冒険者の男の子。

 名前はエリック。魔女のアタシが養子として引き取った孤児よ。

 アタシはエリックを大事に育てたわ。

 そう、アタシの野望を実現する道具としてね。

 アタシには、特殊な性癖がある。

 女の子が恥じらいつつも、望まぬ快楽に喘ぎ声を漏らすシチュが大好きなの。

 その性癖を満たすため、多くの魔導書を執筆したわ。

 それを同人魔導書即売会で売りさばいて、本業収入を上回るほど。

 シチュの中でも好きなのが『スライム責め』なの。

 嫌がる女の子がスライムの快楽に泣き叫ぶシチュなんて最高じゃない。

 だけどね、それはあくまで妄想世界のエロよ。

 現実では起こり得ないけど、アタシはスライムという種族なら可能と考えた。

 スライムは、捕食した対象の能力を獲得する種族特性を持つわ。

 だから、アタシは考えたの。

 性癖を拗らせ過ぎて、異能の域に到達した少年を捕食させれば……

 アタシはエリックに英才教育を施したわ。

 幼少からスライム系のエロ同人を買い与え、彼の性癖をコントロールした。

 その子をアナタに捕食させる。

 それが、アタシの計画『SDGs:Slime ドスケベ Girl責め~』の全貌よ」


 しょーもない野望を語る熟女は、あなたに語りかけるのです。


「エリックを捕食したスライムちゃん! アタシと手を組んで性癖を満たしなさい! すでに服を溶かすための女の子は用意してあるわ! アタシの弟子で見習い魔導師のリズリーよ! リズリーはエリックの幼なじみで、彼に恋い焦がれている暴力ツンデレ系の美少女で……あれ? リズリーはどこかしら?」


 たぶん、さっきあなたが溶かした女の子です。

 エリックを探しに洞窟へ入ったリズリーは疲れから不幸にも特殊性癖スライムと衝突してしまったのです。


「まあいいわ! まずはアタシの服を溶かさせてあげる! アタシを好きにしてかまわないわ、ドすけべスライムちゃん!」


 あなたの返事は、ゼリー状の保護膜から伸びる触手でした。


「フフッ。触手プレイとはお盛んね。いいわ、アタシは受け入れてあげる。そのヌルヌルと粘液のしたたる触手で」


 あなたは、ヌルヌルと粘液のしたたる触手で。

 エロババアの側頭部を、バコーン!と殴りました。


「痛いじゃない!」


 その一撃は声なき意思表示です。


 そう、あなたは女の子の服を溶かしたいスライムです。

 熟女の服なぞ溶かしたくないのです。

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