第06話「ぶるぁぁぁぉぉ! スライムの分際でアイテムなぞ使ってんじゃねぇぇ! てめぇは殺す! 数多の肉片に切り刻みィィッッ! 苦痛と絶望で人生を終わらせるぅぅ!」

 過剰な養分と能力を分離するため、あなたは分裂します。


 あなたの中に新しい核が作られて、保護膜の外へ押し出されます。

 新しい核は保護膜の一部を剥ぎ取り、あなたと別のスライムとして独立します。


 スライムは、基本的に群れを作らない生物です。

 あなたから分裂したスライムは、あなたと別の個体として生きるでしょう。


 知性を得たあなたは、洞窟に留まるべきか悩みます。

 女の子の服を溶かす夢を叶えるには、女の子を襲わないといけません。


 しかし暗くジメジメとした洞窟にいては、その機会も少ないでしょう。

 洞窟で女の子を待つか、洞窟を出て女の子を探すべきか、あなたは悩みます。


 洞窟には様々な動植物が生息しており、それぞれが特異な能力を持ちます。

 あなたはそれらを捕食して、多彩な能力を手に入れられるでしょう。


 あなたは考え、当座の目標を決めました。

 洞窟の無慈悲な生存競争を勝ち抜き、捕食して、捕食して、捕食し続ける。

 そこで得られる強さとしたたかさは、あなたの夢を叶えるのに役立つでしょう。


 あなたは、洞窟を徘徊します。

 突然足元が崩壊して、あなたは穴に落下します。


 穴の底にいたのは、洞窟きっての捕食者である人喰いワームでした。

 巨大なミミズを思わせる人喰いワームは、あなたを喰い殺そうと襲いかかります。


 あなたは攻撃を避けて、落とし穴の内壁に張り付きました。

 洞窟の生態系の上位に位置する人喰いワームは、スライムが勝てる相手ではない。


 そう、普通のスライムでは。


 知性を持つあなたは、ワームの巣穴にあるものを見つけます。

 それは、古びた冒険者の人骨でした。

 ワームが消化できない骨と装備が吐き出され、巣穴に放置されていたのです。


 あなたは「炸裂弾」というアイテムを、保護膜で包みます。

 捕食した人間の記憶を頼りに信管を保護するキャップを外して、人喰いワームの巨大な口に射出します。


 ワームは炸裂弾を飲み込んで、それが体内で破裂します。

 巣穴に肉片が散ります。あなたは勝利しました。


 戦いを終えたあなたは、人喰いワームの肉片を消化吸収します。

 あなたの体に養分が満ちて、ワームに由来する新たなアビリティーを取得します。


 あなたは、アビリティー「触手錬成」を獲得しました。


 あなたは、新しい能力を試します。

 ゼリー状の保護膜に力を込めると、その一部が触手のように伸びました。

 伸びた触手状の保護膜は、あなたの念じるまま自在に操作できました。


 あなたは、人喰いワームの巣穴から出ます。

 壁に張り付くと、近づいてくる無数の振動が感じられます。


 あなたは人喰いワームを捕食したことで、その生態を理解しました。


 人喰いワームの本体は、洞窟の地下深くにあります。

 地下の本体は無数の触手を伸ばして落とし穴を作り、獲物を待ち構えます。


 あなたが倒した個体は、イソギンチャクの触手の一本に過ぎなかったのです。


 あなたは危険を察知し、触手を用いて巣穴から脱出します。

 脱出と同じタイミングで、巣穴全体を噛み砕くほど巨大な触手が現れます。


 勝ち目のなさを悟ったあなたは、その場から逃げだしました。

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