第13話 【最終回④】大地母神、生える!

王様「これより、魔王討伐を大地母神様に報告する『祝勝祭』を開催する!」


王宮バルコニーに立つ王様が開催宣言すると、王宮広場に詰めかけた大勢の王国民たちが歓声をあげる。


「勇者様!」

「魔王死ね!」


お、俺ひょっとして人気者?手を振っておくか。

王宮の屋根から吊り下げられた魔王は、依然として全裸だ。

あんなの陳列しちゃダメだと思うんだが。


広場中央の祭壇で神官たちが神への祈りを捧げる。衣装が日本の神道の装束っぽい。先祖が日本人だからだろうな。祭壇自体は中国の天壇っぽいが。


俺も一応参加者ってか当事者なので、とりま大地の女神様に祈っとくか。


俺「女神様・・・」


女神「呼んだ?」


祭壇の床にボコっと穴があき、地面からタケノコのように女神様っぽいヤツが生えてきた。


女神「呼んだ?呼んだよね?」


いや呼んだけどさ・・・そこからですか?


女神「よっす!私、女神!」


王様、大臣、神官たち、そして王国民たちが女神に対して平伏する。

唯一立ち尽くしている俺は、女神と目が合う。なんだこれ。


俺「あー、女神様、頭に小石が乗ってます」


女神「おっと失礼」


女神様が頭をプルプルと振って頭上の小石を払い落とす。犬かな?

なお、この時点で女神様の下半身は地面に埋まったままだ。


女神「『なんで埋まってるんですか?』と聞く!」


女神様が俺に向けてビシッと指刺す。


俺「・・・なんで埋まってるんですか?」


女神「大地の女神だから!」


どや顔である。不思議ちゃんかな?まあいいや。報告報告。


俺「オレ、マオウ、タオシタ!」


俺は吊り下げられた魔王を指刺す。


女神「エライ!勇者よ、願いを言え!どんな願いもソコソコ叶えてやろう!」


ちゃんと叶えてくれよ。


俺「魔王は倒したので、俺を地上に戻してください。あと・・・」


俺は吊り下げられた魔王に目をやる。


俺「ついでに、魔王、アレもついでに地上に送ってもらえますか?」


女神「オッケー!」


即答かよ。軽いな、おい。


女神「ぶっちゃけ、あの魔王には困っておったのだ。私、大地の女神で地属性だろ?あの魔王の能力とは相性が最悪でな。地下の閉鎖空間ではアレは無敵、魔法効かないし、殺して埋めても普通に復活するし、キショいし、くさいし・・・」


まあチートだよね。閉鎖空間限定チート。


女神「地下王国の人間どもよ聞け!これより、ウザい魔王を地上に永久追放する!」


なんか、魔法陣っぽいものが祭壇に広がっていく。


女神「勇者よ!魔王を地上に護送、追放するのだ!」


俺「ははー(平伏)」


女神「(小声で)・・・人間が地下王国から地上に戻る方法は無いが、神が使う『追放魔法陣』に便乗することで、『裏技』的に地上に行けるのだ」


俺「りょ!任務了解!」


やっと狭苦しい地底から脱出できる!ありがたい!神に感謝!いや、女神様に感謝!


女神「追放だ!」


追放イベント!俺氏、地上へ追放される!

****


次回、最終回⑤ホントにホントの最終回!

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