第12話 【最終回③】さらば地底王国よ永遠に(前編)
女騎士「不法入国・住居侵入・器物損壊・動物虐待等の容疑で通常逮捕します」
魔王は通常逮捕された。
ちなみに動物虐待ってのは四天王など配下の魔物を使い潰した件ね。
治安維持担当の女騎士副団長が魔王を縛り上げ始めたんだが、ホラ、アレだよ、魔王って縛られると喜ぶ変態じゃん?
縛られた魔王のキショいリアクションにブチ切れた女騎士が接着剤でヤツの髪の毛をロープに貼り付け、空中に吊り上げる形で身柄を確保したんだよね。
魔王「ひー!広い!高い!怖い!」
空中でブラブラと揺れる魔王。彼を縛るものはもうない。地位も、力も、服も。
念のため服も剥ぎ取られているので、空中全裸放置である。いろいろとブラブラしている。それを冷淡な目で眺める女騎士。おぉ・・。どうみても捕虜虐待、人権侵害も甚だしい。
症状は正反対とは言え、俺も「恐怖症」の苦しさはわかる。
やめてさしあげて・・・
俺は視線で魔女氏に訴えるが、魔女氏は悲しげに首を振る。
魔女氏「今はこうして無力化できていますが、魔王の能力は強大かつ厄介。たったひとりで、地底王国を簡単に滅ぼす事ができるのです」
まさにチート能力だよな。魔王のヤツを恐慌状態で放置するのも気分が悪いが、これ以外に方法が無い。捕縛しても監禁しても魔王は力を回復するし、地上に降ろしたら簡単に逃走を許してしまうだろう。このまま永久につるし上げ状態を維持する?
勇者の俺が毎日つきっきりで奇跡魔法のデバフをかけ続ける?無理だな。いつか逃走を許してしまうだろう。
魔女氏「殺人罪で処刑、が妥当かと・・・」
俺「いや、ダメだよ。」
地底王国は法治国家だ。殺人罪以外での処刑はできない。魔王は人を殺していない。
魔王の侵攻を受けた地底王国だが、魔女氏の活躍により人的被害・・・死者は出なかったのだ。・・・たった一人を除いて。
魔女氏「勇者様を殺害した罪での処刑、法的にこれが最善かと。」
俺「殺人被害者本人である俺が許しているんだから、もういいよ」
そう、この騒動で死亡したのは、幸いにして俺だけ。
同病相憐れむじゃないが・・・クソ狭状態を脱し、心に余裕ができた俺は、魔王を救いたいとすら思い始めている。俺は心が広いんだ。なんとかならないかな?
魔女氏「・・・この地底世界を創造した大地母神様は、人の願望を叶えたりはしません・・・しかし『人事を尽くして天命を待つ』、努力を惜しまず結果を出した者に対してはその功績に報います。神官に命じて神に祈らせましょう。大地母神様は勇者様の願いを聞き入れてくれるでしょう」
お?神様登場イベントかな?
デウスエクスマキナ!次回最終回!ってか?
****
そんなわけで次回、ついに最終回④!
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