第2話 狭いし臭いし限界です

満員電車のごとくミッチミチ寿司詰め状態の王宮内から早く外に出たい。

狭いし、王様のポマード臭いし、なんなら息も臭いし、俺閉所恐怖症だし、騎士たちの全身鎧とかボリュームあり過ぎてクッソ邪魔だし今すぐその鎧脱げや邪魔だし、大臣の息も臭いし、魔女はなんかいい匂いだな魔法のお香っぽいハーブ的な何かかなこれ・・・ってそうじゃねえ。


俺「広いところに出ましょう!ダシテ!オレ、セマイ、コワイ!」


閉所恐怖症のほかに、拘束恐怖症も患っている俺は、自由に動けない状態・・・満員電車のような状態・・・でも恐怖で心拍数が上がってくる。だから電車移動はイヤなんだよ。広々ワンボックスカーを窓全開で単身ドライブするのがマストだよな!・・・あああ、そういや俺、車が潰れてコンパクトに圧縮されて死んだんだったわ・・・


俺「降ります!降ります!オレ、コノエキデ、オリマス!」

王「・・・勇者殿を外に出してあげなさい」

魔女「承知しました・・・浮遊魔法!」

おお!俺の体が浮いていく・・・そうか、どう詰めてもあと2人分くらいしかスペースが無いこのミッチミチ満員電車な王宮内でも、飛んで行けば移動できるんだな!

しかし・・・天井との隙間が僅かなので、人々の頭上をスーパーヒーローのごとくカッコいいポーズで飛行しないとダメだなこれ。

魔女「こちらです勇者様」

浮遊魔法で魔女・・・名前はメディアだっけ?が浮き上がり、先導するように狭い王宮の天井スレスレを飛んでいく。「こちらです」も何も、俺は自力で飛んでいるわけではないので魔女氏の後ろを牽引されるように飛んでいく。なすがままである。一応スーパーヒーロー飛行ポーズだ。・・・あの魔女の衣装は飛行魔法には適さないよね。


王宮の外に張り出したバルコニー、そこにも王宮の使用人たちだと思われる執事っぽい男性やメイドっぽい女性がミッチリ詰め込まれていた。

魔女と俺はそのバルコニーの手すり部分に着地した。

ようやく広々とした空間に出られた・・・と安心したのもつかの間、王宮バルコニーから見える外の様子に俺は驚愕した。


王宮周辺にもギッチギチに王国国民と思われる人々が集結している。


どういうことだってばよ・・・





***脚注***

Q「バイクに乗れば?」

A「ヘルメットを装着すると拘束恐怖症が発症します」

Q「寿司詰め状態だとトイレは?」

A「飛べないなら、あきらめて下さい」

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