第十六話 料理が上手い人が作る好物ほど美味しいものはない。
家に着いて、早速準備に取り掛かってくれている。
「今から調理始めるとなると、出来上がるのがだいたい30分後なので…19:30とかになりますかね」
「了解!!じゃあ先に風呂入ってくるわ」
「分かりました……って、ふふっ、いつにも増して目が輝いてますね」
「だって好きな食べ物の手料理となると…ワクワクするし」
「そ、そう言って貰えるなら嬉しいです…。でも、そこまでハードルを上げられると……」
「いやいや、君の料理に俺はもう胃袋を掴まれてるわけだし、期待はしてるよ?」
「が、頑張ります………」
てなわけで、手伝える事が何もない俺は潔く身を引く。
適材適所は大事(言い訳)。
(ん〜とこれで下準備は出来たかな?これを鍋に入れて…20分くらい煮て……)
意外と作る手順は少なくて楽なんだけど…お兄さんが期待してくれてるし…そうだ!!『あれ』買って来たから混ぜよっかな?
……………よし、出来た!!!
味大丈夫かな?お兄さんのお口に合ってるかな??
「お風呂上がったよ〜」
「あ、はい!!ご飯もできましたよ!」
「君はどうする?先にお風呂入る?それともご飯先にする??」
「出来立てなので、先にご飯頂きましょうかね」
「了解。今髪の毛乾かしてくる」
「はーい」
お兄さんも髪の毛を乾かし終わったところで、ご飯を食べることに。
「「いただきます(!)」」
「ふふっ、本当に楽しみにしてたんですね」
「好物が出てくるって分かったらそりゃあウキウキくらいするさ」
「(可愛すぎる……!)」
「ん?」
「な、何でもありません!さ、食べましょ食べましょ!!」
危ない危ない…危うく心の声が漏れるところだった……。
「お、おう……うっっっっっま!?」
「そんなにですか?」
「いや、本当に……なに入れたの?もしかしてアカンものとか…………」
「入ってないですよ!!ちゃんと合法です!」
「その言い方の方が怪しいわ」
確かに。
「てか、これ何?」
「あ、これは『食べるラー油』です。お好みでどうぞ」
「へ〜こんなのあるんだ。じゃあこれくらい取って、乗っければ良いんだよね?」
「そうですそうです」
「じゃあ一口……!?!?(言葉にできない美味さ)」
なんか美味しいもの食べた時のリアクションじゃないくらい感動してるんですけど…。
そ、そんなに美味しかったのかな…?
「ど、どうでs———」
「美味いよ美味い!言うまでもなく美味いよ!!!」
めっちゃ食い気味で肯定してくるお兄さん。
こんなに感情が昂ってるの初めて見た。
……可愛い。
「そんなに喜んでもらえたなら、作って良かったです」
「もう一生俺のそばから離れないでください!」
「うぇえ!?もう、何言ってるんですか!?は、早く食べましょ!!もう……」
一瞬だけ、ほんっっっとうに一瞬だけ
(へっ!?これって………ぷぷぷぷプロポーズ!?!?)
と思った私を殴りたい。
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