第十五話 二人で買い物
和田さんに挨拶されるという激レア(?)イベントを挟み、一限が始まる。
一限は隼と同じ講義な為、一緒に向かう。
(あ〜だり〜〜)
(まだ始まって5分じゃねえか)
(帰ろうぜ?)
(なわけ)
取り敢えずやる気のない隼は無視して、無事一限を終えた。
二限は自分の好きな座学の授業だった為、体感時間30半くらいですぐ終わった。
今日は早めに帰ってきて欲しいという事なので、三限で切り上げてすぐ帰ることにしよう。
幸い研究室に行く用事も、今日はないし。
昼食を食べた後は、適当に三限の講義を流し(流すと言っても講義の要点はしっかり聞いた)、さっさと帰路に就く。
「あ、おかえりなさい」
「今日は早めに帰ってきて欲しそうだったから。それで、買い物だっけ?」
「そうです。じゃ、さっそくいきましょ」
「買い物って、スーパーだよね?」
「そうですよ?ほら行きましょ!」
「お、おう…」
スーパーならいつも行ってくれてると思うんだけど……。
「今日は、少し奮発しても良いですか?」
「珍しいね君から言うの。全然良いけど、何買うの?」
「ふっふっふ〜、今日は…牛丼です!!」
「牛丼!?」
「と言いたいところなんですが、牛肉ってなかなかのお値段がしますし…お兄さんに相談したくて。良いですかね?」
「全っ然いいよ!むしろ買ってくれ!!」
「えぇ!?もしや、牛丼好きなんですか?」
「男は全員牛丼好き」
「そんなことはないと思いますが…。いつもクールなお兄さんがこうしてはしゃいでるの、可愛い…」
「へ?」
「ああ何でもないです!そうだ、牛丼を作るのに欠かせないのが……みりんです!」
「みりん?」
牛丼ってそんな奥深い料理なの?
「実はですね……みりんって未成年じゃ買えないんですよ」
「え、そうなの?」
「はい。なので今日はこうしてお兄さんにきてもらう事にしたんです」
「なるほどね、だからか」
「てなわけで、後は醤油はある、砂糖もある…あ、玉ねぎは無かった…。あとは付け合わせにピリ辛もやし作るのでもやしと———」
献立を立てている彼女は、ゾーンに入っているので、カートを押しながら彼女の後ろをつけていく。
「よし!こんなところですかね〜」
と言うわけでレジに通し、そこそこの値段はしたものの、俺の大好物の牛丼を彼女が腕によりをかけて作ってくれるそうなのでこんな出費は屁でもない。
「あ、俺が持つよ」
「ありがとうございます。やっぱりお兄さんは優しいですね」
「まあ、君は料理してくれる立場だからこういう仕事は任せて」
「頼りになります!」
あー、楽しみだわあ。
気持ち行きよりも足取りが軽い気がするわ。
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