第十二話 友達と呑むだけの平凡な一日?
結局『そんな』展開が起こることもなく、普通の一日を過ごした。
研究も終わり普通に帰宅する筈、だったが……
「よ、終わったか?」
「え、終わるまで待ってたの?」
「おう」
「キモ」
「何でだよ」
いや誰かが俺の待ち伏せしてる時点でキモイのによりによってお前かよ。
「いやー今日の俺は居酒屋に行きたい気分なのですよ」
「お前ぜっっっったいに悪酔いするやん」
「まだ要件言ってねえよ」
「いや言ったようなもんだろ」
「良いじゃ〜ん、いこーよー」
「あー分かった分かった。だからくっついて来んな」
「よっしゃ。てか何だかんだ付き合ってくれるの優しいかよ、ツンデレか」
「やっぱ行くのやめるわ」
「おーい」
てことで、何故か居酒屋に連行されることになった俺氏。
一応彼女には連絡しておくか。
『今日友達と外食してくるね』
『了解です』
と許しを得たところで向かうことにする。
数日前。
「そういえば君ってスマホとか持ってるの?」
「一応持ってますけど」
「じゃあ連絡先交換しておかない?」
「ふぇっ!?」
「いやあのそう意味じゃなくて!帰る前とか誰かに誘われたりして外でご飯食べたりする機会できるかもだし」
「ああ、そう言うことですか…」
なんでちょっとガッカリしてるの?
まあいいや。
「だから、いいかな?」
「それなら全然大丈夫ですよ」
と言うことがあり、現在連絡できるようになっている。
「てか何で俺誘ったの?」
「だってお前しか誘える友達いないんだもん」
「嘘つけ」
「まあ今のは嘘だけど、お前に俺の行きつけを勧めるためってのはある」
「いや俺酒あんまり飲まないタイプなんだけど」
「まあまあ細かいことは気にすんな」
細かいのこれ?
そうこうしているうちに隼の行きつけの店とやらに来た。
「ここ?」
「そう!じゃ、早速入ろ」
「お、おう」
そもそも居酒屋というものにあんまりきたことがない俺は、思ってたより賑やかな空間だったことにまず驚いた。
「取り敢えずなんか頼むか」
「俺何が良いとか分かんないから、隼が美味しいって思うやつ頼んでくれ」
「おし、任しとけ。一応聞くけど炭酸とかは?」
「俺は全然大丈夫だぞ」
「オッケー」
隼が代わりに店員に注文を頼んでくれてから数分後、その品が届いた、のは良いんだが…
「これ、全部?」
「うん」
「いや、多くない!?特に酒が!」
「そう?」
「一応聞いておくけど、酒は———」
「弱い!」
「なら何でこんなに頼んでるんだよ!?」
「そういう気分なの今日は!」
き、気分なら仕方ない…のか……?
というか今の店員、どっかで見たことあるような…?
「梗介〜?早く食べよー」
「あ、悪い悪い」
それより、この量の酒は……嫌な予感しかしないが大丈夫なんだろうか。
30分後———。
「なーしゅんすけ〜聞いてくれよ…」
やっぱり始まった。
こいつやったらすぐ愚痴こぼすんだよな。しかもこれがまあ長い。
「ねぇ〜聞いてる〜?」
「あ、ああ聞いてる聞いてる」
だりぃ……!!
というか、こいつ酒弱いのに良く全部空けたな。まあそのせいで随分悪酔いしてるみたいだけど。
てか、こいつ全然気付いてないみたいだけど、あの店員さん…やっぱり———
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