第十一話 普通の大学生の一日?

朝、酔っ払いを起こし彼女が作ってくれた朝食を食べ、


「頭痛い…」

「だから飲み過ぎだって言ったのに……」

「私の作った味噌汁でも飲んでください…」

「うま〜!」

「喜んでくれて何よりです」

「梗介くん、なんていい家政婦を持ってるの…」

「別に雇ってるわけではないですけどね」


朝からエプロンつけて朝食作ってくれてるところを見れば、確かに家政婦と言えなくもないか。


「二日酔いには味噌汁がいいと聞いたので作っておきました」

「神すぎる…女神だ……」

「確かに毎回美味しい料理を振る舞ってくれるから感謝してるよ」

「こんな美味しいご飯を毎日…?おい、ずるいぞ梗介だけ!!」

「なぜ急に呼び捨て!?はいはい、こんな事してると俺大学に間に合わないんで行きますよ」

「え、送ってくれるのか?」

「当たり前でしょ。ほら早く」

「意外と優しいところあるな……」

「意外は余計」


なんてやりとりをし、小鳥遊さんを家まで送って大学に行く。

ちなみに小鳥遊さんの家は初めて行ったので、道のりは直接聞いた。



大学にて。


「梗介、お前寝てないの?クマすごいぞ」

「うるせ、酔っ払いが来てたんだよ」

「酔っ払い?」

「ああ、だいぶタチの悪いな」

「それは御愁傷様…それ美人だったら神シチュなんだけどな〜」

「隼お前それ、神に誓って言えるか?」

「どうした急に」


いつも通り軽口を叩いていると、


「おっ、大学一の美女の和田琴葉ちゃんだ。今日もかわええなぁ」

「誰?」

「知らんのかい。入学当初から『めっちゃ美人な人がいる』って男どもが噂してたのに」

「男どもって…お前のその一部だろ」

「当たり前、てか知らないのお前くらいだろ」

「男が皆んな美女に惹かれると思うな」

「え、違うの?」

「違うわ」


え、違うよな?なんか不安になってきた。


「そんな事より、あと10分で次の授業始まるぞ」

「うわマジだ、お前は?」

「空きコマ」

「うざ」

「何故」

「じゃあ行ってくるわ」

「おう」


一人になったところで、図書室にでも行って暇潰すか〜。まだ終わってないレポートあるし、仕上げよ。


「ちょっと」

「はい?」


さっき隼が言っていた和田さんが、何故か俺に話しかけてきた。


「君、今暇?」

「え、あーはい。ちょうど今空きコマです」

「ちょっとこの研究室まで案内してくれない?」

「あ、分かりました」


研究室ってことは、俺と同じ理工学の人なのか。


「今までどうやって行ってたんですか?」

「いつもは友達と一緒に行くんだけど、今日はいなくて。私方向音痴だから、誰かいないと大体迷子になっちゃうんですよ。この大学結構広いし」


方向音痴なのか。意外な一面を見た気がする。

容姿を見た感じ、何事もきっちりしてるイメージだからギャップがすごい。


「ここで大丈夫ですか?」

「そうです、ありがとうございます」

「それでは」


今日は珍しく女性から話しかけられたな。

小鳥遊さんとあの子以外と話す機会がないから、めっちゃ緊張したわ。

まあだからといって何か特別な事があるわけでもなく、普通に図書室に行きレポートを仕上げるだけだった。

ここがラブコメならベタな展開もあるかもしれんが、生憎そんなことは起き得ない。


…………ないよな?()


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