第十話 悪酔いした先輩とお泊まり

「ねーねーこれ飲む?」

「え、あの、いや……」

「この子まだ未成年だから!」


やっぱりこの人の酔い方だるすぎる。

そもそも未成年に飲酒を強要するな。


「じゃあこれおつまみ!!これだけでも一緒に食べよっ!」

「え、いいんですか」

「もちろん!はー私ってなんて優しいの……」

「自分でそれ言ってるやつは大体優しくないぞ」

「梗介くん今日厳しい〜!!」


もう何なんだこの絡み方は。めんどいオヤジ感半端じゃない。


「取り敢えず水飲んで落ち着いてください」

「うーい、ひっく…」

「だいぶ酔っていらっしゃいますね」

「だな」

「私ここ泊まってく〜……」

「は!?」「え!?」


相変わらず突拍子もないことをって……


「いやいやいや、寝床ないし。そもそもだめでしょ!」

「なんで?」

「なんでって…どう考えてもまずいっす!!」

「そうですよ!……んーでもこの時間に帰らせるのもだめかもですね…」

「じゃあ決まり!!!あ、シャワー浴びたーい、使わせてもらうね〜!」

「え、ちょっと」


えぇ……………。



側から見れば美少女二人と一つ屋根の下の超絶羨ましいシチュエーションかもしれないが……今はそうじゃねえ。

酔っ払いと女子高生なんよ。


仕方なしでこの家に酔っ払いを泊める事にはしたが…寝床が問題すぎる。

まあ俺がベッド譲れば良いか。


「じゃあ小鳥遊さんはベッド使ってください。俺は座布団2枚敷いて寝ます。君はいつも通り布団使って寝てね」

「だめだよ〜!背中痛くなっちゃうじゃーん」

「でも小鳥遊さんに床で寝させることはできないんで」

「やっぱり梗介くんは優しいねぇ」

「はいはい、じゃあおやすみなさい」


と普通に床で寝ようとしたのだが———


「だめですーー!!」


もーめんどくさい!!!!何だこの酔っ払い!


「君もなんか言ってくれよあの酔っ払いに」

「いえ、私も床で寝させるのには反対です」

「なんで!?」

「なーのーでぇ、私と結菜ちゃんでベッド使います!!!!」

「え?は??」

「確かに!それは名案ですね!!」

「迷案の間違いだろ!!」


てことは…


「じゃあ梗介くんはそのお布団で寝てくださーい」

「そうですね、私の布団ですみませんが」


ええ…マジでこの布団で寝るの……?

いや、嫌って訳ではないんだけど———。


「じゃあ寝ますか〜」

「電気消しますね」

「おう」


……………女子の匂いって、落ち着かないんよ。

まっっっっっったく寝れない。

女子高生の匂いに興奮するとかそんな性癖は全然ないんだけど、男ってそう言う生き物なのよ。



翌朝の大学にて。


「梗介、お前寝てないの?クマすごいぞ」

「うるせ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る