第五話 新しい日常

「んじゃ、そろそろバイト行って来るわ」

「はい………えっと…い、行ってらっしゃい……です…」

「お、おう…」

なんか、夫婦じゃね?このやりとり…って馬鹿か俺は!?昨日会ったばっかの奴にどんな感情抱いてんだ??でもまあ、「行ってらっしゃい」って言ってくれる人がいるのも、良いもんだな。



と、車で20分ほどでバイト先のコンビニに着く。

「はぁ〜」

「どーしたんだよ梗介!!」

「わっ!とと、あの、いつもの事ですけど…いきなり後ろからタックルしないでくださいよ…」

この人は、このバイトの先輩の小た鳥か遊なし美玲さん。自称このコンビニの看板娘らしい。いやコンビニに看板娘って斬新すぎるだろ、と初めて聞いた時は心の中で盛大にツッコんだ。まあ顔は可愛いので全否定はしないけども(←こんな事絶対本人には言わない、調子乗るし。)

「いや何か落ち込んでそうだったからよ!で、どうしたんだ?」

「いや、別に何も」

「可愛くねぇなあ〜うりうり」

と、こんな調子でいつも俺に構って来る。何なんだ。

「まあ、強いて言うなら、女性と関わるのって難しいな〜と———」

「なっ!?お前、ついに彼女とか———」

「出来るわけないでしょう。本当に目ん玉付いてます?」

「さらっと自虐ネタ……。あの、君言っておくけどかっこいいからね?」

「は?」

「はっ…!んーん、やっぱ何もなーい。ほら、もうシフトの時間だよ!」

「あ、はい」

最後のは何だったんだ…?やっぱりまだあの人のことはよく分からん。




「ふぅ、終わったー」

「おつかれ〜!ほれ、差し入れっ」

「あ、ありがとうございます」

この人、意外と気遣いめっちゃ出来るんだよな。コンビニの接客とかても常々思う。うん、意外は失礼か、と心で呟きつつ貰ったコーヒーを口にする。

「じゃあ、俺からも。こんなもんしか無いっすけど」

「お、チョコだ!やったぜ」

「何がそんなに嬉しいんだか」

「こーゆーのは気持ち伝われば良いんじゃよ」

「何故におじいちゃん風」

「ありがたく祀まつるね」

「いや食べてくださいよ!」




「ただいま〜」

「お、おおおおかえりなさい…です……」

「ぷっ」

「な、何で笑うんですか!?」

いや、帰ってきて早々こんなガッチガチの女の子が玄関にいたらそりゃ笑うわ。

「いや、何でもない…ふっ」

「あーもう!これでも頑張ってお迎えしたんですよ…?」

「ごめんごめん」と言い、自然と頭を撫でてしまう。

「!?!?!?」

「あっ…ご、ごめん!」

「い、いや、全然大丈夫ですっ。むしろ…う、嬉し———やっぱり、な、何でもありません!さ、ご飯にしましょう!!!」

「う、うん…」

なんか見えない湯気が出てる気がするが、気のせい??

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