第三話 女子高生と買い物
今日は土曜。今日は一日中ぐーたらして……ってできたらいいんだけどなぁ。普通にバイトあるし。
「はぁ〜……」
「どうしたんですか。そんな朝から深いため息ついて」
「ああ、今日もバイトかあ〜と思ってね。一日中ゴロゴロできたらなーって現実逃避中だった」
「バイトですか。何のバイトしてるんですか?」
「普通だけど、コンビニの店員。でもタバコ覚えたりすんのめっちゃキツかった。出来るだけお客も番号で言ってくれって今でも思う」
「へ〜大変なんですね。お兄さん、しっかりしてて偉いですって、流石に上から目線すぎますよね!すいません!!」
「いやそこまで謝んなくても良いけど。てかさ、俺んち出たとしても行く宛って、無いよな?」
「はい、行き当たりばったりです」
「なら、暫しばらくは俺の家に泊めてやる」
「え、でも……」
「遠慮すんな。あ、そうだ。なら布団とか買った方がいいよな?今日のバイト16時からだし、9時から見に行くか?」
「え、良いんですか?」
「あったりまえよ!あ、それともベットが良い?俺、バイトしすぎて貯金溜まってきてんだよね。だからお金に困ることはそんな無いと思う」
「そこまで傲慢じゃ無いですけど、ありがとうございます」
「おう、じゃ、行くか」
そうして、車で店まで移動する。
「本当にありがとうございます、私なんかのために」
「……昨日から思ってたけど、『私なんか』はダメ」
「え?」
「そんな卑屈にならなくても良いだろ。てか、料理もできて、顔もそこそこ可愛いし、食いしん坊だし、そこまで悪いとこなんてないけどな」
「最後!あと顔がか、可愛いはお兄さんの目が腐ってるだけです!!でも………ありがとうございます」
「おう。ま、とにかく、ポジティブになれば良いことも増えるってこと」
「はいっ」
その時の少し明るくなった笑顔は、昨日よりも可愛く見えた。
そんなこんなで、「お、ねだん以上。」のあの店にきた。敷布団、掛け布団、枕等々を買い、車のトランクにぶち込んで家まで運ぶ。
「ふー、取り敢えず今はここにおくか。それにしても物が増えるほど、部屋が狭く感じるよな〜」
「これが、今日から私が寝る布団…」
「本当は俺が布団で君がベッドでも良いんだけど」
「流石にそれは烏滸がましすぎますよ!」
「謙虚だねー」
まだ12時か。てかもう昼時なの早すぎな。
「あ、もうお昼ご飯の時間ですか。じゃあ今日はお布団も買ってくださいましたし、私が丹精込めて作ります!!」
「え?マジで??」
「もしかして、嫌…でした?」
いや、普通にバカ可愛いなその上目遣い。まあ俺の方が10cm以上身長高いから上目遣いは自然なんだけど。
「いやいやいや、全然嬉しいよ!でもそこまでしてくれるのか〜と思って」
「それはこっちのセリフです!何から何まで、ありがとうございます」
こうやって毎回感謝してくれてるのは育ちだろうな。
「じゃあ、まずはスーパーに行って食材調達だな」
「はい!」
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