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2人のキスは少し続いた。
最初、マキはアツトのキスから逃れようとして、体を捩っていたが途中で諦めた。
「マキ、好きだ。」
キスが終わり、そう言ったアツトの顔は、真剣だった。
「アツト。。。
でも、ぼくたち男同士だよ。」
マキは、真っ赤な顔でアツトを見ながら言った。
「ああ、だが、そんな事、どうだって良いだろ。」
そう言うと、アツトは、またマキにキスをした。
マキは、アツトの気持ちに応えるように、体の力を抜いた。
それから2人は、友達以上の関係になった。
学校に居る時や通学途中では、今まで通り、友達として仲良く話したりした。
そして学校が終わると、いつも一緒に下校した。
ただ、真っ直ぐ帰宅しなかった。
2人は通学路の途中にある、小さな神社に立ち寄った。
社の裏にある、物置の陰に隠れるようにして、2人はゲーム機で遊んだりした。
時々、周囲を気にしながら、キスしたりして。
夏休みになると、殆ど毎日、朝から夕方まで、2人は一緒に過ごした。
宿題をしたり、ゲームをしたり、公園やプールへ遊びに行ったりした。
アツトは、マキとの、その関係がいつまでも続くものと思っていた。
夏休みが終わり、2学期が始まって少し経った頃、マキは3年生で、隣のクラスの男子と付き合うようになった。
いや、マキ自身は、付き合っているつもりは無かった。
その男子とは、小学校で何度か同じクラスになった事もある、知り合いだった。
それは、アツトも同じだった。
マキは男子から、彼女に振られたと言われ、慰めているだけだったのだ。
少しでも元気になるように、笑顔で楽しく話しかけたり、励ましたりしていた。
そうして、男子に気を遣っている姿が、アツトに、酷くショックを与えた。
その日、アツトは、マキと一緒に、教室に残った。
何をするでもなく、ただ、皆が帰るのを待って居たのだ。
「アツト、そろそろ、帰ろう?」
マキがそう言って誘っても、大した返事もせず、ただ、本を見たりしていた。
教室に2人きりになると、マキはアツトにキスした。
いつもであれば、アツトもマキを抱き寄せ、キスを返してくれる、筈だった。
しかし、アツトは、マキを押し退けた。
「マキ、昨日、アイツとキスしてたろ。」
アツトは、ジッとマキを睨みながら言った。
「えっ、うっ、うん。
でも、それは・・・」
「俺、ダメなんだ、そういの。
どうしても、許せないんだ。」
アツトは、マキの言葉を遮ると、とても悲しそうな顔で、俯き言った。
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