第35話

謁見の間に連れて来られた俺は何故か玉座に座った子供と対面していた


「ふむ、お前が山を超えてやって来た人間か!」

「そうですけど…あなたは?」


いや、まさかな…

謁見の間の玉座には座ってるけどそんな訳…


「魔王です!」

「そっかぁ…君が魔王かぁ…」


本当にこの子供が魔王なのかよ!?

しかも女の子だから王じゃねーだろ!?


「とりあえず要件を…」

「ああ!そうだったな!人間には悪魔を倒すのを手伝って欲しいのだ!」


悪魔、悪魔…?

魔物は分かるけど…悪魔???


「そんなの居るの…?」

「居るぞ!というか悪魔のせいで魔族は大分追い詰められているぞ!」


そうなの!?!?

魔族ってこう…超絶強いイメージなのに!?


やっぱり悪魔って言うくらいだし超強いのかな…?

それともなんか特殊とか…?


「…じゃあ観光を報酬に手伝います!!!」

「助かる!!!」


なんかこう…全て勢いで決めたな!!!

いや、良くないんだろうけどやっぱ勢いに負けて


ーーー


「ふむ!!!お前の言っていた同行者というのはこの娘か!!!」

「おう、ただ茜には悪魔狩りはさせるなよ?」


こいつは俺に比べて圧倒的に弱いんだから

あとポンコツだから


「もちろん分かっているぞ!!!この娘は我々魔族総出で守ってやろうじゃないか!!!」

「それなら安心だわ」


この魔王様は信用できるからな

なんてったってあの後報酬を前払いしてくれるって言ってたからな!!!


「…この子は誰なのかとか、悪魔狩りは何なのかとか何もかも分からないんスけど」

「あの子は魔王で悪魔って奴に魔族が追い詰められてる、悪魔狩りはその悪魔を狩るよってことだ!」


魔王様あいさつだけしてさっさと帰ったな…

いや、まぁ魔王様があの街の最大戦力だからだろうけどもね…


「へー、でも何で先輩は悪魔狩りを手伝う約束なんてしちゃったんスか?」

「え?なんかこう…勢いで?」


あれ?確かに俺は別に悪魔狩りに参加する必要は無かったのでは?


「先輩って本当にアホな時あるッスよね」

「いや、一応報酬として観光があるし…」


でも前払いの報酬があるんだよ!?

これは受けるしか無いでしょ!?


「命かけるなならもっと豪華な報酬にしたほうがいいと私は思うッス」

「それは…そうだね…」


何も反論が出来ないんだなぁ…


「それにそもそも悪魔がなんなのかとかちゃーんと分かってるんスか?」

「…確かに、悪魔について詳しく知らないわ」


なんか超強そうくらいのイメージしか持ててない


「それくらい聞いとくッスよ先輩…!!!」

「忘れてた!!!!!!」


こういう時はこう…勢いで誤魔化す!!!

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