第32話

「ここが聖剣を安置している部屋だ」

「おぉ…神秘的…」


お城の地下なのにかなり自然が残ってる

特に水は凄い綺麗、めっちゃ輝いてる


「勇者から託された聖剣を守る為にこの場所に王城が建てられた程の物だからな」

「へー、そうなんですか」


だからここだけ自然が残ってたりするのかな?


「さ、聖剣を抜いてみてくれ」

「え?あ、はい」


本当に良いんですか…?

私一回聖剣抜きましたよ…?


…いや、まぁこっちの聖剣が抜ける条件がエルフの聖剣と同じとは限らないしね?


最悪返却すれば良いし…

とりあえずやるだけやってみる!


「ぬ、抜けた!?」


だよね〜、こうなる気はしてたよ、うん

でも抜いてみたら?にいいえと答えられないタイプなんだよなぁ…!


「おお!おめでとう!その聖剣は君の物だ!できるならば最期には獣王国に再度安置して欲しいが…」

「あ、それはするつもりです」


だってそもそも抜く気が無かったからね!!!


「そうか!それは助かる!…それと私と正式に一度手合わせをしてもらえないか?勿論報酬は…」

「やります、やらせてください」


聖剣持ちだす罪悪感を紛らわすために相手の要望に応える、完全に自己満足だけどね…


でもこれだけで大分罪悪感がマシになるからなぁ…

やるしかないでしょ!


ーーー


「うむ!正式に手合わせをして頂けることを嬉しく思うぞ!今代の勇者よ!」

「あっ、はい…」


う〜ん、勇者は違う人なのに勇者って言われるのはなんかこう…違うなぁ…


「さぁ勇者よ、今回は…最初から全力だ!」


うわっ!なんか獣要素増えた!

そんでめっちゃ闘気多いやんけ!!!


これもう倒すの無理だろ…

ってか攻撃が速い!そして重い!


痛った!?めっちゃ良いの入った!

これヤバいって!キツいって!


…あれ?いや、でもなんか見えるわ

攻撃も見えるし動きも見える


う〜ん、もしかしてスキルでステータス上がった?ダメージを受ける事が条件なんだろうけど…


それにしては受けるダメージ量が甘くない?

まぁ、条件が甘いのはいい事なんだけどね?


とりあえず獣王様に一撃入れて、それで追撃は…

するか!軽く、軽くだよ?


えいっ!


「ぐぅ…!流石は勇者、全力でも敵わぬか…」

「いやぁ…凄い強かったですよ」


実際スキルがなかったら勝てなかったしな


「…ありがとう、礼としてはなんだが国宝の秘伝書を持って行くがいい」

「え?いや…いいんですか?」


国宝って言ったけど?


「うむ、獣王を超える武術家が現れた暁には獣人の秘伝は全ての武術家に公開するのだ」

「えっ、嘘ぉ…」


俺のチートのせいで本来の想定より大分早く公開されることになってない?


「その為の一歩として全ての闘気の応用法が書かれたその秘伝書を獣王を超えた者に与えるのだ」

「は、はい…」


全ての闘気の応用法ってサラッと言ったけど獣人の中でも一族の秘伝とかあるよ?


それも全部含めた闘気の応用法ってこと?

…マジで国宝級の宝物じゃん、ヤバすぎるだろ


「そうして公開していき、最後には秘伝の無い世界を作るのだ、この戦いはその為の儀式でもある」

「ヒェッ…」


や、やらかした…

これ受けない方が何倍も良かった奴だ!!!


「さぁ、持ってゆくがよい、広めるも隠すも勝手にするのだ、我々はこれを機に秘匿を辞める」

「は、はい…」


マジかよ…








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