第30話

迷子の獣人の子をなんとか助けたい

ってことでまずは家を聞いてみて家に親族が居るかどうかだけ確認するか


「ねぇ、自分の家が何処かって分かるかな?」

「うん…分かる…」


おお!なんだ分かるのか!


「それなら家の場所だけ教えてくれない?そしたらそこまでお兄さんが連れて行って上げるから」

「うん…私の家はね、真ん中にあるの」


「真ん中、真ん中ね、分かったとりあえず中央広場に行くからそこから探そっか!」

「うん…」


にしてもあんなに泣いてても気づかないなんて親御さんは何してるんだ?


ってか、そもそもどれだけ遠くに来たんだこの子

中央広場もそこそこ遠いし獣人ならあの泣き声でどこにいるのか分かるはずだしな


この子どこかから脱走してきたとかか?


「…先輩、めっちゃ幼女の扱い手慣れてるッスね」

「そりゃあな」


いつも半分幼女みたいな奴を扱ってたら幼女の扱いの一つや二つ上手くなるってもんだろ


「あと子供っぽい話し方する先輩キモいッスね」

「ぶち殺すぞマジで」


誰がキモいだボケ、こちとらピチピチの高校生やぞ

高校生はまだギリギリ子供だろうが!!!


あとキモいは酷いよ!!!!


「あ!お兄ちゃん!あそこ!あそこが私のおうち!あそこに行けばお姉ちゃんが居るの!」

「お!そうなのか、でも流石に指差しじゃ…」


その方向は王城でほぼ見えないから王都の奥だと

大体の場所の把握も難しいんだよ…


「え?見えてるでしょ?あのお城が私のお家!」


は?お前王族かよ、これ王族を誘拐したって勘違いされかねんぞ


…待てよ?だからあの場に居た他の獣人も助けたいのに見て見ぬふりしてたのか?


ヤッベ急いで城に届けよう、城に届けさえすれば

勘違いも解けるはずだ


ん?待て、なんだあれ?なんか王城から飛んで来てないか?いや、そんな馬鹿な…


いや、間違いないアレは人間…ってか獣人!

多分あれ獣王!


…これ勘違いされてねぇか!?!?


「おい、私の妹、返してもらおうか…!」

「クソが!なんとか説明するしかねぇ!」


どうする?説明?いや、無理だ獣王が強すぎる

今説明初めたら流石に負ける…!


とりあえず…掌底!肘打ち!体当たり!そして構えが崩れた獣王を掴んで…地面に向かって叩きつけ!


そのまま追撃!頼むから気絶しろぉ!!!


「負けられ…な…」


よし!気絶した!このまま二人揃って王城に返しに行くか!


「ちょっと急ぐから茜はその子背負って来てくれ!俺は獣王背負って行くから!」

「え?ちょっ…分かったから待って欲しいッス!」


もう待てねぇよ!迷子の方を背負って獣王をお姫様抱っこ!あとは全力疾走だ!


「茜は後から城に来い!!!」

「ちょっ…えっ!?いや…まぁ良いッスけど…余りにも早くないッスか…?」

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