第23話

「聖剣…綺麗ッスねぇ…」

「そうだな、世界樹の中にこんなのがあるとは思わなかったわ」


めっちゃ綺麗だな…

本当に世界樹の中…ってか洞の中にあるから真っ暗な筈なんだけど聖剣が輝いてるから明るいんだわ


だからこう…神秘的というかなんというか…

本来なら見ることの無かった幻想的な光景でかなり見応えがある


「聖剣といえば選ばれし者しか抜けないものッスけど…この聖剣はどうなんスか?エルフさん?」

「はい、この聖剣もまた、選ばれし者しか抜くことができません」


ん?急にそんなこと訊いてどうしたんだ?

いかに聖剣とはいえこいつが欲しがるとは思えないんだが…


「なるほど…じゃあ抜かせて欲しいッス!」

「えぇ…?いや、聖剣に選ばれし者しか…」


「そうじゃなくて!私はこう…とりあえず抜こうとしてみる観光地的な雰囲気を体感したいんスよ!」

「あぁ…じゃあ触るだけで良いのか、それなら触ってもいいよな?」


「え、あ…それは長に聞かないと…」

「…いいよな?」


「あっ、ハイ良いです…」

「良いらしいぞ茜!抜いてこい!」

「抜いてくるッスー!…もしかしたら本当に抜けるかもしれないッスよ〜?」


(ヾノ・∀・`)ナイナイ


「先輩!ちょっと先輩も来てください!先輩も抜いてみて下さいよ!本当に抜けませんよ!」

「だろうな」


まぁ俺も抜けないってのはどういう感覚なのか気にはなるし付き合ってやるか


「よ〜し、じゃあ俺も力いっぱい…あ"っ"!?」


抜けたァ!?

えっ、なんで…なんで!?


あっ、アレか!俺が召喚されたからか!?

…いや、茜が抜けてないし違うな


って事はこれは割と単純にステータスで抜けるかどうか決まるか単に強く刺さってただけなのでは?


「あっ…えっ…どうしよ…」


テメェ、エルフぅ!どうしよってのはこっちの台詞じゃいボケぇ!


「先輩…聖剣抜くとかこれもう先輩が勇者なんじゃないッスか…?」

「いや、たぶん違うと思うよ…?」


だって俺が勇者なんてステータスにはどこにも…

いや普通に書いてるわ


称号の欄に勇者ってガッツリ書いてるわ

でもこれ召喚されたから勇者ってだけで別に俺が選ばれし勇者って訳じゃないと思うよ…?


「…まぁ、これは抜いたし貰って行くね!!!」

「えっ…いやっ…それは困ります!長に伝えてどうするか聞かないと…!」


えぇ…だって君たちすっげぇクソみたいな手法で俺を騙してドラゴン討伐させたじゃん、やだよ


「…じゃあこの聖剣使って今から暴れようかな?」

「ヒッ!?いや、ちょっと!ちょっと待って下さいなんとか他のエルフを説得しますんで!」


よし、これで仲間が増えたから使い辛かったコインに代わる激強武器が手に入るぞ〜!

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