第19話
「あ、えー、…ナタリアさん?」
「あ、はい、ナタリアです…」
名前一瞬出てこなくて疑問形になってしまったな…
でも何でナタリアさんはやたら畏まってんの?
「えーっと、そちらの方は…?」
「あ、こいつは…友人です」
…実際ついて来たいって言ったからついてこさせてるだけで仲間でも無いしな、なんなんだコイツ
「先輩の友人の茜ッス、よろしくッス」
「あぁ…よろしくね?」
「あの…それで話ってのは…」
「ああ!そうでした!貴方にエルフの里に来てもらおうと思いまして!」
「えっ、なんで…?」
「えっ?いや…その…ほら!アレですよアレ!最近はエルフの里も客足が遠のいたので有名な人に広告してもらおうと思いまして!」
へぇー、この世界だとエルフの里って丁度流行りが過ぎた観光地みたいになってるんだ
つーかさぁ、俺を広告塔にするつもりなんだろうけども、でもさぁそれって…無理じゃね?
「いや、でも俺そんなに有名じゃ…」
「いや、あれだけ強ければ勝手に有名になりますよだから安心してエルフの里に来て下さい!」
「じゃあ気が向いた時にでも…」
「いえ!今すぐ来てください!お願いします!」
えぇ…何をそんなに急いでるんだ…?
もしかして俺、騙されて…は無いかぁ!
エルフって大体高潔な種族だし、なにより俺を騙しても特に獲られるものも無いしな!大丈夫だろ!
「…いいですよ!」
「そ、そうですか!じゃあ早速…」
「…ちょっと待って下さい、先輩、これ多分騙され
てるッスよ!」
「いや…それは俺も考えたけど、別に俺金持ちって訳でもないし大丈夫だって!」
「…そ、そうッスか?」
「そうそう、大丈夫だって!」
「そうですよ〜!私もエルフの里の活性化の為にお願いしてるんですから!裏なんて無いですって!」
「な?言ったろ?良い機会だしエルフの里、観光させてもらおうぜ!」
異世界だとありふれた観光地とはいえ、エルフの里だからな行ったほうが得だって!
「むぅ…まぁそこまで言うなら良いッスけど…」
「よし!決まりました!それじゃあ早速案内してください!」
いやぁ〜エルフの里で観光かぁ…!
楽しみだなぁ…!
ーーー
エルフのナタリアさん…いや、ナタリアに案内されてエルフの里に来たんだが…
「なぁ、あれは何だ?」
「世界樹です…」
流石にそれで誤魔化されはしねぇわ
「そうじゃなくてあっちの世界樹に引っ付いてる方が何なのかって聞いてんの!」
「あれはぁ…あの…世界樹に寄生する邪竜でぇ…」
世界樹に寄生するじゃ邪竜ねぇ…
あんなのが居るんじゃそりゃ人も近づかんわな
「…それで?なんで世界樹がこんな状況なのに俺を連れてきた?故郷の活性化の為か?」
「いや…そのぉ………エルフじゃあの邪竜倒せないので助けて下さい!」
だと思ったよクソが!
騙されたァ!
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