第18話
「なぁ茜」
「どうしたんスか先輩?」
明日が、不安だ
不安すぎて頭がおかしくなりそうだ…
「明日の決勝戦の相手のエルフどう思う?」
「どうって…分かんないッスよ…」
いや、まぁ確かにね?2試合しか見てないからよく分かんないとは思うけども
「そうじゃなくて、こう…俺でも勝てそう?」
「え?いや、勝てると思うッスよ?だって…先輩、超絶強いじゃないッスか」
えぇ…茜が突然俺の信者みたいな褒め方してきたんだけど…なに?どうしたの?
「お前…なんか不気味だぞ…?」
「失礼ッスね!?ってかお世辞とかじゃ無くて先輩が超絶強いのは事実ッスよ?」
そういう所だよ!
お前が俺を褒めると気持ち悪いの!
「褒めないでくれ、気持ち悪い」
「酷いッスねぇ…でも本当に客観的事実として先輩はかなり強い方だしどうにかなりそうッスね」
ふむ…なるほど、茜がそこまで言うって事は事実として強い方なのか
「…ちょっと安心してきたなぁ、安心も出来たしさっさと宿に戻って寝るか」
「えぇ…そんな感じで良いんスか…?」
まぁ、確かに俺も強いって言われただけで突然安心するのはどうかとは思うけども
「でも不安をどうにかしたかっただけだからなぁ…自分が納得すればそれで良いんだよ」
「…そういうのもんッスか」
そういうもんだよ
ーーー
今日は決勝戦、ってか今ちょうど決勝戦の舞台に
入場した所だ
『2回戦で騎士との格の違いを見せつけた超新星!
アイダァァァァ!!!』
う、う〜ん、まぁそこそこ格好いいからアリっちゃアリかなぁ…?
『対するは前回優勝者すらも下した神速の魔術師!ナタリアァァァァ!!』
あっちの方が格好いいんだけど!
なんだよ神速の魔術師って!
俺もそういう二つ名欲しかった!
俺の紹介だけ内容が薄いんだよ!
…いや、試合を一瞬で終わらせたからだろうけども
でも格好いい二つ名欲しかった!!!
とりあえず試合が始まるけど神速の魔術師らしいからな、こっちも速攻で攻撃しないとな
開始のゴングがそろそろ…
カァン!
鳴ったから高速で近づく!
そしてそのまま…腹パンじゃあ!
追撃はしない、前回もこんな感じだったし追撃のせいで相手を瀕死にさせるとか嫌だからな
そんでどうだ?反撃してくる感じか?
「ぐぅぅ…こ、降参…」
おっ、なんか降参した
…えっじゃあこれ俺が優勝って事?マジで?
ワァァァァァァ!!!
『やっぱり勝ったぞ、超新星アイダ!神速の魔術師すらも相手にならない!』
やっぱりってなんだテメー!
毎回さっさと勝ってんじゃねぇ的な嫌味か!?
とりあえず帰るか
…いや、大闘祭も終わったしそろそろこの街を出て何処か行こうかな
「アイダさん、待ってくれる?」
「え?はい」
なんかエルフの人に呼び止められた
ここからは殺し合いだぁ!とか言わなきゃなんでも良いよ
「ちょっとこの後、闘技場前で合流しましょう?話したいことがあるの」
「あぁ…分かりました」
話、話かぁ…
殺し合いとかは嫌だし平和的な奴が良いな
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