第12話
「はぁ…はぁ…大闘祭ってのはこの街で一年に一度行われる祭りで、内容は乱戦の予選と一対一の本戦に分かれている」
「へー、それで大闘祭だけやたら人が増える理由はなんなんだ?」
ただ戦うだけなら普段の闘技場と特に変わらないように思えるんだけど…
「大闘祭で勝てば豪華な景品や人脈、なにより自分の強さを証明できる、だから大闘祭が近くなると腕自慢達が集まってくるのさ」
なるほど、景品に釣られて強い奴が集まる、それに釣られて大商人や貴族が集まり、その人脈を求めて更に強者が集まる
そうして強い奴が集まり続けるうちに求道者のような奴も大闘祭に集まるようになった、って感じか
なるほど…それは確かに一大イベントだわ
にしてもそんなイベントの日と重なってるだなんて運がいいな
「それで、その大闘祭にはいつ参加できる?」
「い、今からでも闘技場に行けば…」
なるほど、まだ受付はしてるのか
それなら俺も記念に参加してみよっかな…
「分かった、ありがとうな」
「は、はいぃっ!」
ボロボロにしたのはごめんて…
でもそんなにビビらなくてもいいじゃん…
「なぁ茜、お前は大闘祭参加する気はあるか?」
「う〜ん、先輩次第ッスかね?」
えぇ…?なんで俺がどうするかで決めるんだよ
別にチーム戦とかではないだろ…?
「いや、俺は参加するつもりだけど…」
「じゃあ私はやめとくッス」
あぁ…そういうことね…
俺とは戦いたくない的な…
「…って騙されねぇぞ!どうせどっちでもやめとくつもりだっだろ!」
「あ?バレました?いや〜だって面倒くさい事なんてやらなくて当然ッスよね〜?」
そんなことだろうと思ったよ…
ってかそれなら最初から参加しないでいいだろ…
「とりあえず俺は大闘祭に参加するために闘技場に行くから、ちゃんとついてこいよ?」
「そのくらい分かってるッスよ、先輩」
い〜や、絶対お前ははぐれるね
まぁ言ったら拗ねるから言わないけど
ーーー
「…やっぱりはぐれたじゃねーか!」
どこ行ったあいつ!?
闘技場の前で大闘祭の受付の間待たせただけなのにもうどっか行ったよ!小学生かお前は!
くっそ、どこだ…?
売店?いや、あいつは金とか持ってないし…
そうなってくると本格的にどこだ…?
「あっ先輩!もう戻ってたんスね!はい!これ先輩の分の串焼き肉ッスよ!」
「えぇ…?どこから金を生み出したんだお前…」
お前に金とか渡して無かったしお前自身は金どころか武器すら持ってない手ぶらだっただろ…
「え?お金は優しいおじさんがくれたッス!」
「お前次からそういうの絶対受け取るなよ?」
こんなだからはぐれないか心配してたんだよ俺は!
少しは自分が迂闊だという自覚を持ってくれ…!
「…先輩、私の事を何だと思ってるんスか?その位分かってるッスよ!」
「じゃあその金はなんだよ」
「え?これは…優しいおじさんのお金ッスね」
「そういうことじゃねーんだよ…」
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