第11話

さーて、報酬も貰ったし早く王都を出発しよう

えーっと、確かギルドに馬車を買える所が…


「先輩、ちょっと待つッス」

「…なんだよ、茜」


何故俺に話しかけてくるんだ、やめてくれ

俺は早くこの街を出て旅をしながら平和に暮すんだ

だから放って置いてくれ…!


「私もついて行って良いッスか?」

「…なんでだ?俺は聖と一緒に居たほうが良いと思うんだが」


だってお前聖の事が好きなんでしょ?

物語と違ってそうタイミング良く聖と再開したりは出来ないと思うよ?


「聖について行くと危険だし先輩の方が頼りがいありそうなんで先輩について行きたいッス」

「…う〜ん、まぁ、それなら…?」


断りたいけど断る理由も無いし危険なのが嫌だからついて来たいらしいから断るのもな…


「それじゃあ先輩について行くッス!それで…目的地はどこッスか?」

「近くの街に行こうと思ってる、闘技場があるらしいからそこで稼いで次の街に行くつもりだ」


ただ最初の方の報酬はあんまり良くないらしいから最初の内はギルドで依頼を受けなきゃかもな


…いや、確か闘技場以外にもダンジョンがあるらしいからそこで稼いでもいいかもな


「あ、それと宿泊代はちゃんと自分で稼げよ?」

「大丈夫ッスよ先輩!これでも勇者ッスから!」


いや、面倒くさがりなお前がちゃんとダンジョンに潜ったりするか心配で言ってるんだけで戦闘能力の心配はしてねぇよ


ーーー


闘技場のあるセオの町にやって来たんだが…

なんか、こう…


人が多くない?こんなもんか?

いや…だって王都より何倍も人が多いぞ?


そんなことある?

あんなのでも一応王都だぞ?


「なぁ、兄ちゃん」

「んあ?なんですか?」


急に話しかけられたからアホみてぇな声出たな…

それにしても何故あからさまにキョロキョロしてる俺に話しかけたんだ…?道案内とか出来ないぞ…?


「兄ちゃんのツレちょっと貸してくれよ、金は払うしちょっと輪すだけだからさぁ…」

「えっ、嫌です」


ってか本当にただ連れてるだけなんでそんな決定権俺には無いです


「あぁ?断れるとでも思ってんのかゴルァ!」

「うおっ危なっ!?」


急に剣を抜きやがった!

こいつ俺が剣を持ってないからって舐めてんな?


多分過大評価だけどこれでもAランク冒険者だ

そう舐められると腹が立つよなぁ!?


だから俺の、怒りの、腹パンだぁぁぁぁ!!!


「うっ…ごほっ…」

「あっ、ごめん…」


なんか凄いダメージ受けてる…やり過ぎた…?

いや、そんな馬鹿な…


「な…ま、待ってくれ…命だけは…」

「と、とりあえずなんでこんなに人が多いのか教えてくれたら開放するよ…!」


なんか凄いパニックになってこの状態の相手に対してなんとなく気になった事を聞くサイコパスみたいになってしまったな…


「せ、先輩…流石にやり過ぎッスよ…」

「最後にレベルが上がってからまともに戦って無かったから上手く手加減できなくてな…」


俺だってわざとここまで相手をボロボロにしようとはしてねぇよ、俺を何だと思ってんだ


「お、教える…それは…ゴホッ、一週間後に…この街の…闘技場で…大闘祭が…行われる…から…」

「お、おう…もうちょっと息を整えてからで良いからな?落ち着いて喋れ?」


ボロボロ過ぎるだろ…

こいつこのままだと死ぬんじゃないか…?








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る