第8話

あれから俺は兵士に王城まで連行され

めちゃくちゃ美人な女王様に謁見しているんだが…


「あの…誰ですか?」

「む?妾は女王じゃが?」


わぁ!のじゃ口調!

そんなことある?


「いや…あの、普通の喋り方の俺達を召喚してすぐに色々教えてくれたあの人は…?」

「ああそれは妾の娘じゃな、王女というやつじゃ」


なるほど、あれは王女で女王では無かったんだ

確かにここも召喚された所とは違うみたいだしな


「…それで女王様、貴方は何がお望みですか?」

「なに、そう警戒するな相田よ、妾の望みは簡単なことじゃ」


「…簡単な事?」

「うむ、ただ聖と戦えばいいだけなのじゃ、ほうら簡単であろう?」


簡単…?

無理やり報酬も無しに戦う事を簡単…?


体が資本な冒険者を呼び出しておいてそれは無いだろさすがによぉ…


「いや、やりませんよそんなこと…」

「…む?なぜじゃ?」


えっ、怖

普通はやらない事をさも当然のようにやらせようとしないでよ


「…本当に駄目かの?」

「少なくとも報酬が無い内は駄目です」


武器が全然ないから高級な武器くれ

最早剣以外の使った事のない武器でもいいからくれ


Sランクゴブリンの時もそうだったけど武器が弱くて何回も攻撃しないと有効打にならないんだよ


Sランクゴブリンとか滅多刺しにしたのに全然生きてたからな、武器の弱さが分かるってものよ


「…ふーむ、ならば何が報酬なら受けるか教えてはくれぬか?」

「え?じゃあ…強い武器ください」


「分かったのじゃ、それで、聖はもう呼んでおるし早速戦ってはくれんかの?」

「やります!」


強い武器をくれる、それだけでもう戦う理由は十分だ!俺は今すぐ聖と戦うぞ!


…えっ、今すぐ!?


ーーー


話を、話をよく聞いていなかったからなんの用意も無しに聖と戦うことになりました…


聖よ、手加減してくれ

…いや、聖は優しいしきっと手加減してくれるだろ


「…相田、俺は今度こそお前を超える」

「えっ、あっ、うん…」


なんか向こう凄いやる気じゃね?

なんで?


俺を超えるもクソも最初から俺を超えてるだろ?

なんでお前は俺を超えるとか言ってるの?


と、とりあえずゴングの音が鳴ったら開始だから

音をよく聞いて…


カァン!


始まったぁ!?


「うぉぉぉぉぉ!!!」


聖マジで全力じゃん!

…全力かこれ?


それにしては遅いし、分かりやすい

聖、やっぱり手加減してくれてるのか?


とりあえずここは軽く反撃を…


「ぐあっ…!」


あれぇ?もしかして聖…弱い?

な、なら強めの追撃を入れれば…!


「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!!」


勝った!模擬戦終わり!


「大丈夫か聖!」

「くそぉ…今度こそ、今度こそお前に追いつけたと思ったのに…やっぱり俺は駄目な奴で…」


うわぁ!聖!急にどうした!?

どうしてそうなったんだ!


確かに元の世界ではやけに目の敵にされてるなとは思ってたけどなんでそんなに思い詰めてるの!?

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