この“総合評価:10”ってのは?
その日の夜、イリスのために用意された部屋にカーンがやってきた。
こんなクソゲー辞めてやる! とイリスはログアウトしようとしたが、相変わらずコンソールは出現せず、ログアウトの方法がわからないので流されるまま城内に留まっている。
「第999勇者イリスさまの能力判定の結果が出ましたのでお知らせします」
そう言ってカーンに渡された一枚の紙にはこんなことが書かれていた。ご丁寧なことに日本語だ。
登録番号999
勇者名:イリス
武器特性
片手剣:装備不可
両手剣:装備不可
槍:装備不可
片手斧:装備不可
両手斧:装備不可
短剣:Fマイナス
防具特性
金属全身鎧:装備不可
金属部分鎧:装備不可
革鎧:装備不可
布:Fマイナス
魔法特性
炎:使用不可
氷:使用不可
雷:使用不可
風:使用不可
光:使用不可
闇:使用不可
その他:使用不可
乗馬:不可
総合評価:10
見るも無惨な結果である。評価段階で『Fマイナス』とは最低ランクだ。
要するに包丁みたいな短剣と普段着と何ら変わりのない布の服しか装備できないということだ。しかも『ただ身につけているだけ』ということに等しい。
「赤点のテスト結果見せられたみたいだな。……この“総合評価:10”ってのは?」
他は“不可”だったり“F”だったりする中、ここだけ数字が入っている。上の評価に倣うなら“S”とか“A”とかになるんじゃないのかと思う。
いや、SとかAになるわけがないのは百も承知だと自分でツッコミを入れておいた。
「そちらですか……」
質問を受けたカーンが答えにくそうな顔をしている。ろくでもないことはわかっているからと先を促すと、カーンは重い口を開いた。
「その……十歳児相当ということです……」
想定以上の答えに何も言葉が出ず、そのままふらふらと部屋に備え付けられているベッドに横になると、そのまま寝た。
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