第6話 前の世界との違い

今レオルたちは警戒心を高めて歩いていた。

なんせ傷だらけの少女を守らなければならないためいつも以上に緊張している。

そんな中少女は周りの木々を見渡しながら飛び跳ねている。

前の世界とはかなり違っている。

あまり発展などはしていないのだろうか。

前の世界ではこのくらいの森なら支配しようとして戦争が起こるくらいだ。

それにこの森にはあまり強い生き物は存在していないようだ。

早く腕と足を治したいがここには回復できるような生き物は人間以外いないようだ。

そんなことを考えていると姫が話しかけてきた。


姫 「片足で大丈夫ですか?」


その言葉に対して少女はコクリと頷いた。

この姫はかなりの魔力の持ち主だ。

前の世界でもあまりいないだろう。

しかし魔法はあまり使えてなさそうだ。

そもそもこの世界での戦闘はどのようなものなのだろうか。

そんなことを考えていると森の出口が見えてきた。

森から出ると遠くに町と城が見える。

おそらくこの人間たちはあの町から来たのだろう。


姫 「あそこに見えるのが私の城です。」


そう言って姫は町の中心にある大きな城を指さした。

それにしてもいくら近いとはいえ姫がこんなに簡単に出歩けるものなのだろうか。

姫くらいの実力ではすぐに殺されてしまいそうだが。

もしかすると世界が変わっているから気配も違うのだろうか。

そんなことを考えながら歩いていると町の入り口にたどり着いた。

私のようなものが入っても大丈夫なのだろうか。


姫 「私はこの国の姫ですからね!!少しくらい融通が利きます。まぁ第二王女ですのでそこまで権力はありませんが。心配しなくても大丈夫ですよ。」


ミノ 「早速城に向かいましょう。国王陛下やギルドマスターも集まっていらっしゃると思います。」


そう言ってミノは先頭を歩きだした。

城に入るまでや城に入ってからも特に問題もなかった。

そして会議室のような部屋に通された。

部屋に入ると王様とその護衛だろうか執事が横についている。

王様は機嫌が悪いのだろうか。

私に命令していた人のような感じがする。

そしてこちらを向いて話し始めた。


王様 「さて。言い訳を聞こうか。マリよ。」


あの姫、マリというらしい。

ずっと姫と呼ばれていたから名前がわからなかった。

王様に話しかけられたマリ姫はしまったというような顔をして慌てて話し始めた。


マリ 「いえ違うんですのよお父様!!だってあんなの見たら誰だって見たいと思いますわ。護衛はミノで十分でしょう?」


その様子に王は溜息を吐きながら


王様 「それはそうだが。せめて書置きぐらい置いて行ってくれ。城が大混乱になる。」


そういわれてマリはすみませんと頭を下げた。

一段落したためか王様は一息はいた後こっちを見ながら話し始めた。


王様 「さて、本題に入ろう。君は奴隷のように見えるがご主人様のことはわかるか?」


そういわれて少女は少し考えた。

自分にご主人様などはいたのだろうか。

命令を出す人がご主人様だろうか。

ならば、


少女 「私にはご主人様のような人はいません。ですが、命令を出す人がご主人様とおっしゃるならいます。」


王様 「どのような人だったんだ?」


少女は少し溜めるように間を作って


少女 「私のご主人様は、人間すべて。言うならば私は人間の種族の奴隷です。」

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