第4話 傷だらけの少女
~森の中~
ボロボロになった少女は今死んだような眼をして空を見上げていた。
魔王に投げ飛ばされて気づいたときには地面にたたきつけられていた。
痛みはない。
ただ衝撃が伝わっただけだ。
切られた腕と足の血はぽたぽたと垂れているがだいたい止まっている。
少女は空を見続けている。
ふと周りに目を向けてみる。
周りには木々があるがところどころ折れている。
少女が背を預けている大きな岩には今にも割れるくらい大きなひびが入っている。
このような場所は見たことがない。
空の様子も違うことからここはおそらく今までいた世界とは違うのだろう。
違うというからなんだというのだ。
少女には何もない。
今までは戦うだけだった。
戦いに必要とされていた。
首輪は物心ついた時からついていた。
外そうとすれば死ぬぎりぎりまでいたぶられ、回復魔法をかけられた。
そうして少女は首輪を外そうとすることはなくなり、なぜか回復魔法も効かなくなった。
この森の中にはいろいろな気配がある。
小さいものはおそらく動物などだろう。
おそらく人間もこの森にいるだろう。
しかし少女は助けを呼ぶことはない。
呼ぼうと思っても方法がない。
そんな中右から4つのそこそこ大きな気配がこちらへ向かっている。
左からも2つ、こちらは1つは右の4つより少ないがもう1つはかなり大きい。
それでも少女は空に目を向けたままだ。
右側から顔が飛び出した。
アクル 「おそらく、ここらへんだな。」
ミオル 「かなりボロボロ。」
すると左側から二人の顔が飛び出した。
姫 「ねぇミノ!!絶対この辺りだって!!」
ミノ 「姫様~。もう戻りましょうよ~。何かあったらどうするんですか~。また怒られるの私なんですよ~。これだから姫様の専属になるのは嫌なんですけど~。」
おそらくお姫様とメイドだろう。
お姫様はそこそこ強いのだろうが、メイドはかなり強いのだろう、気配が他と違いかなり大きい。
その声を聴いて右側から大きな声が響いた。
ミファリ 「姫様いました!!」
慌ててミファリ、レオル、アクル、ミオルが近寄ろうとしたとき、メイドのミノが皆に話しかけた。
ミノ 「皆様方、ご無沙汰しております。もしかして姫様の捜索ですか?」
レオル 「あ~。はい。そうです。」
森の調査のことを話すか迷ったが極秘なので姫の捜索ということにした。
ミノ 「すみません。こんなところまで。まったく姫様には困らされっぱなしですよ。姫様、聞いているんですか?ひめさ…」
「キャーーーーーーーーーー!!!!」
突如あたりに女性の叫び声が響き渡った。
全員 「!?」
ミノ 「姫様の声です!!」
全員が驚いているとミノがいち早く反応して駆け出した。
慌てて4人はミノについていった。
姫のもとにたどり着くとそこには両手で口を押えて震えている姫と、その後ろで険しい顔をしているミノの2人。
アクル 「いったいどうしたって、......っな!!!」
ミファリ 「これは...」
ミオル 「ひどい...」
レオル 「...っ?!」
そこには右腕、左足がなく、ボロボロな12歳くらいだろうか、アクルよりも小さい女の子が空を見上げて後ろにある大きな岩を背もたれにして座っていた。
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どうも作者です。
評価をしていただいてありがとうございます。
とてもうれしくて励みになります。
土日と連続で上げてみました。
3話を少し修正して会話に名前を追加してみました。
よろしければコメントや評価などしていただけると嬉しいです。
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