さいきょうどらごんのつくりかた

 巨大化を取得させたので、残りのSPは570だ。という訳で、巨大化とのコンボとして考えていたものを取得させようと思う。


「先ず、分け身ね。簡単に言えば分身の術だけど」


 これは、髪の毛などの自身の体の一部を触媒に自分の分身を三体まで作り出せる80SPのスキルだ。これによって生み出される分身はステータスの5%を引き継ぐ。が、今回はSLv.4まで上げているのでステータスの20%を引き継げる。また、SLv.4なので生み出せる分身の量も十二体まで増えている。


 まぁ、元はステの5%なんて一瞬で吹き飛ぶようなHPしかないので余り使われていないスキルだが、僕は結構気に入っている。

 証拠に、このスキルは爆猿王ことギンキィにも取得させている。彼の場合は致命的な攻撃力を持つ爆発攻撃を複数体で同時に行える、転移や高速移動による撹乱の性能を更に上げられるという利点から取得させたが、今回はもっとシンプルだ。


 ディアンのHPはたった20%でも300以上ある。参考までに言うと、僕のHPは200だ。更に、そこに巨大化が乗るのだ。つまり、三倍されてHPは900以上になる。この時点でグラのHPよりも強力だ。

 さて、これが十二体出現することの恐ろしさを分かってくれただろうか。

 AGI,MP,INT以外のステータスが60%あるドラゴンが十二体だ。本体も合わせれば十三体である。多分、AGIは元の20%の上に巨大化までしてるので結構遅くなってしまうと思うが、弱いということはないだろう。

 そもそも、ステータスが削減されているとは言えスキルの類は使えるのだ。ドラゴンなんて、爪を振るえてブレスを吐ければ十分だろう。


 さて、これでもまだSPは190も残っている。という訳で、次のスキルを取ろうと思う。


「お次は……呪蝕陣、と」


 これは、簡単に言えば自身を囲うようにダメージエリアを出現させるスキルだ。このエリアは術者を中心に動くので、近接系の敵は常にこのエリアに踏み入らなければならない。

 詳しく説明すると、この呪蝕陣は自身の最大HPの1%分の防御無視ダメージを三秒かけて与えるエリアを作り出し、与えたダメージの半分を回復し続けるというものだ。当然だが、展開している間、MPは消費され続ける。


 これは、タンクとかがよく使ってるスキルなんだけど、HPがそもそも多いディアンなら活かせるんじゃないかと思って取得させてみた。

 SLv.2だから三秒かけてHPの2%分のダメージだけど、これをディアンで計算すると一秒に10ダメージ以上だ。僕が相手だったとしたら、僕は二十秒で死ぬことになる。



 ……さて、これに巨大化と分け身が加わればどうなると思う?


 当然ダメージは三倍になるから、本体は一秒に30ダメージを与えられるし、分身も一秒に18ダメージを与えられる。全員で合計すると、一秒あたり約250ダメージだ。

 つまり、彼の分身に囲まれると僕は一秒もせずに死ぬ。まぁ、対象除外は出来るらしいから僕や仲間を巻き込む心配は無いけど。


 さて、SLv.2の呪蝕陣……合計110SPだ。つまり、残りは80SP。取り敢えず高速再生でも取得させて、残りは30SP。


「んー、ディアンって属性で言うと何が苦手?」


『……水だ』


 まぁ、火の竜だからね。イメージ通りではあるけど。じゃあ、水属性耐性をSLv.2まで取ろう。


「よし、おっけー。出来たよ」


 巨大化に分身に持続的範囲ダメージと回復力。弱点も克服したし、言うことなしだろう。


『主よ……貴様、どれだけ恐ろしい力を我に与えたのだ?』


「あ、感覚とかで分かる?」


『違う。力の使い方が勝手に頭の中に入ってくるのだ。それで大方察した』


 なるほどね。他の子も何となく力の使い方が分かるとか言ってたしね。


「一応、動きを見たいから使ってみてよ。今あげた力」


 竜は頷くと、体を起こした。


『グウゥ……グォオオオオオオオッッ!!!』


 咆哮と共に、竜の姿が大きくなっていく。ぐんぐんと巨大化していく竜は、二回りほど大きくなるとやっと成長を止めた。


「次、分身ね」


『あぁ……グゥゥ!』


 低く嘶くと鱗がポロポロと落ち、それが竜の姿に変わっていく。また、十三体となった竜も同じように咆哮をあげると、三倍の大きさまで巨大化した。


『最後に、これだ』


 ディィィンと耳障りな音が鳴り、紫と黒で構成された魔法陣が竜たちの足元に展開された。その大きさは当然、彼らに合わせられたサイズであり、僕らを容易に飲み込んでいる。


「あ、の……何やってるんですか、貴方は」


 気配を消していたオデュロッドが、青褪めた顔でそう口にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る