森の守護者

 良し、名前も付けたし取り敢えずステータスを見ようか。


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Race:暴食の緑蛇グラ・セルペンス Lv.51

Job:緑祭司ドルイド Lv.16

Name:グラ

HP:529

MP:685

STR:203

VIT:323

INT:288

MND:358

AGI:202

SP:500


■スキル

□パッシブ

【HP自動回復:SLv.4】

【MP自動回復:SLv.3】

【光合成:SLv.3】

【麻痺毒生成:SLv.2】

【気配察知:SLv.2】

【高速再生:SLv.1】


□アクティブ

【風魔術:SLv.4】

【土魔術:SLv.3】

【突撃:SLv.3】

【咆哮:SLv.2】

【噛砕:SLv.2】


□特殊スキル

暴食の緑蛇グラ・セルペンス

緑祭司ドルイド


■状態

【従魔:ネクロ】

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 うんうん、なるほどね。ジョブ持ってたんだ。|緑祭司(ドルイド)は、確か植物を操れるジョブだったはずだ。あの木の兵士を作る能力は緑祭司ドルイドの権能だったのかな。

 そして、光合成は……光を浴びている間はHPとMPの回復速度が上がり、他の基礎ステータスも浴びている光の強さによって強化されるみたいだね。ステータス強化はそこまで大きくないみたいだけど、回復速度強化は役に立つらしい。あと、どうでも良いけど普通の光合成としての役割もあるらしい。


 他には気になるスキルも無いし、早速SPを振っちゃおうかな。


「なんか、どうしたいとかある? どういう風に強くなりたいとか、さ」


「キシャ……キシャ、シャシャ(どういう風にか……やはり、この樹海を守るための力が欲しい)」


 どんだけ樹海が好きなんだよ。もしかして、自然を愛することが緑祭司ドルイドへの転職条件だったりする? まぁ、出来るだけ樹海全体を守れるようなスキルかぁ……。


「普段はどうやって守ってるの?」


「キシャシャ(今日のように樹海を周っていることが多い)」


 なるほどね。樹海の中を這いずり回ってパトロールってところかな。


「あ、御誂おあつらえ向きのスキルがあるじゃん」


 僕はポチッとスキルを二つ取得させた。そのスキルの名は【使い魔】と【縄張り】だ。


【使い魔】は50SPを必要とするアクティブスキルだ。MPを消費することで、純粋な魔力の塊であるふよふよと浮く淡く光る球のような攻撃能力の無い使い魔を作るか、依り代を作りそこに憑依させる形で使い魔を作るか、僕の知ってる限りでは二種類の使い魔を作ることができる。

 そして、どちらの使い魔も創造主の命令を遵守し、お互いに五感を共有することが可能だが、前者の魔力のみで作られた使い魔は知能がかなり低いので、高度な命令は下せない。


 そして、この二種類の使い魔の大きな違いは、魔力充填が必要かどうかである。前者の魔力のみの使い魔は周囲の魔力を吸収して存在し続けることができる(破壊されない限り)が、後者の依り代を必要とする使い魔は基本的に魔力を充填してやらなければならない。


 つまり、後者の依り代を必要とする使い魔の方が性能は高いが、代わりに燃料が必要である。逆に前者の魔力だけの使い魔は魔力の充填が必要無いので、五感を共有する為だけの存在として監視などに使える。しかも、こっちはフヨフヨと浮遊もできる。

 なので、前者の魔力だけの使い魔を森の監視に使うのが良いかもしれない。


 ただ、それをするにしても監視しながら色々なことをするのは難しいので【並列思考】も取得させておく。100SPの消費はきついが、それだけの価値がこのスキルにはある。というわけで、これで監視用の思考と通常の思考で分けて使ってもらおう。


「先ずは使い魔を使って欲しいんだけど……できそう?」


「キシャ(うむ)」


 頷いたグラが鳴き声をあげると、フヨフヨと浮遊する紫色っぽく光る球体が生まれた。大きさは拳くらいだ。


「じゃあ、それで感覚の共有とかできる? あと、並列思考も」


「……キシャ、シャ(凄いな、これは)」


 グラが感動したように鳴き声をあげた。どうやら、成功しているようだ。まぁ、依り代の使い魔の方は後で試してもらうとして……次は【縄張り】だ。


【縄張り】は30SPを消費することで取得できるパッシブスキルで、自分で定めた範囲内に存在する生命を探知し、その場所を知ることができ、縄張り内の地形を完全に把握できる。


 小さな虫は大きさ設定やレベル設定で探知から弾くことができるので、縄張り内が生命反応で埋め尽くされることはない。

 縄張りの外から誰かが入ってきたら分かるように設定することもできるし、設定で一部の種族を探知の範囲外にすることもできるし、別の存在として探知させる(友好な相手として設定するとか)こともできる。

 更に、縄張り内に居る時のHPとMP以外のステータスが上昇する。ただ、縄張りの場所を変更できるのは一週間に一回だけ、しかも縄張りの設置には三日もかかるので、コロコロと戦闘場所を縄張りに出来るわけではない。


 そして、このスキルはスキルレベルを上げることで定められる縄張りの範囲が広がっていき、ステータスの上昇量も勿論増える。


「というわけで、軽く樹海一帯を縄張りに出来るようにしてみたんだけど……まぁ、これは後で試してみなよ」


 縄張りは自分を中心として円形に設置される。なので、縄張りの設置時は樹海の中心にいる必要があるのだ。因みに、【縄張り】はSLv.5まで上げさせておいた。なので、範囲は樹海を丸ごと覆えるくらいだし、樹海内に居ればステータスは50%強化される。


「じゃあ、最後の質問だけど……君って大食い?」


「キシャ、キシャシャ。キシャシャ、シャシャ(いや、全くだな。一日に猪を一頭食って光合成をし、樹海に実っている果実や葉を貪るだけだ)」


 めちゃくちゃ大きい割にそこまでは食わないらしい。……いや、ゾウとかキリンとかもあんまり食べないのかな? 知らないけど。ていうか、どこが暴食の緑蛇なんだよ。少食の緑蛇じゃないか。


「じゃあ、悪食はやめた方が良いだろうし……」


 うーん、まだ100SPも余ってるんだけど。まぁ、結晶化でも取ろうかな。そしたら体内に潜られて負ける今回みたいなことにもなりにくいだろうし。


 それで、残り50SPだけど……光魔術かな。光合成にも相性良さそうだし、日光ほどの力は無いと思うけど、夜でも自分を強化できるのは強力だろう。光魔術をSLv.2まで上げて、残りは20SPだ。


 ……よし、【直進加速】を取得させよう。これは、一定以上の速度で直進している時、AGIが一時的に少しずつ上昇していくスキルだ。SLv.1の今だと最大は二倍だろう。まぁ、敵を発見してから急いでそっちに向かっていくためのスキルだ。

 逃げにも使えるし、追うのにも使える。が、戦闘中にはあんまり使えないかもね。因みに、直進と言っても多少は曲がれるらしいので完全に一直線しか走れないわけでは無い。


 良し、完成だ。


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Race:暴食の緑蛇グラ・セルペンス Lv.51

Job:緑祭司ドルイド Lv.16

Name:グラ

HP:529

MP:685

STR:203

VIT:323

INT:288

MND:358

AGI:202

SP:0


■スキル

□パッシブ

【縄張り:SLv.5】

【HP自動回復:SLv.4】

【MP自動回復:SLv.3】

【光合成:SLv.3】

【麻痺毒生成:SLv.2】

【気配察知:SLv.2】

【結晶化:SLv.1】

【高速再生:SLv.1】

【並列思考:SLv.1】

【直進加速:SLv.1】


□アクティブ

【風魔術:SLv.4】

【土魔術:SLv.3】

【突撃:SLv.3】

【咆哮:SLv.2】

【噛砕:SLv.2】

【光魔術:SLv.2】

【使い魔:SLv.1】


□特殊スキル

暴食の緑蛇グラ・セルペンス

緑祭司ドルイド


■状態

【従魔:ネクロ】

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 取り敢えず、コンセプトは『森の守護者』だろう。森を使い魔で監視して外敵を発見し、縄張りで位置を把握して殺す。ただ、流石に手が足りないと思うので、後でゴブリンの巣と協力関係を結ばせておこう。まぁ、依り代の使い魔でどうにかなるかも知れないけど。


 一段落した僕は使い魔について軽く検索した。


「……うんうん。多分だけど、緑祭司ドルイドの能力で依り代を作ってあげれば良さそうだね。多分、行ける」


「キシャ……キシャ、キシャシャ。キシャシャ(多分だと……いや、感謝しよう。貴殿のお陰でこの樹海は更に強くなった)」


 まぁ、それは間違いないだろうね。ここ、そこそこプレイヤーも通るエリアだけど……まぁ、御愁傷様ってね。

 僕は顔も知ることが無いであろう犠牲者にほんの少しだけ詫びてから、夜が迫る空を眺めて次の行動を考えた。

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