エリアボスをテイムしてみた
「さて、
僕は、赤い石の地面に埋められて頭だけを出している巨人に言った。因みに、冒険者たちにはもし暴れ出したら危険だからと言って帰ってもらった。
「一つは、このまま降参して僕の
「グォォ? グォオオォッ! (何だと? 断るに決まっているだろうッ!)」
巨人は大声をあげて僕の提案を拒否した。
「じゃあ、二つ目の提案だ。君を殺して僕の死霊術でゾンビに変えてあげるよ」
「グォッ?! グオォォ、グオォォァアアッ!! (なッ?! い、嫌に決まっているだろうがッ!)」
巨人は悲鳴をあげて僕の提案を拒否した。
「うん、でもどっちもダメって訳にはいかないんだよね。だから、選んでよ。
「…………グッ、グオォォォ。(ど、どちらも断る)」
巨人の言葉に僕は呆れながらも微笑みかけた。
「うん、そっか。じゃあ、残念だけどゾンビだね。首を跳ね飛ばしてあげるよ。
「グッ、グォオオッ! (ま、待てッ!)」
僕が手を伸ばし魔法を発動しようとすると、巨人は慌てて止めた。因みに、今のは演技だ。ゾンビにするなら首を跳ね飛ばす訳がない。身体の欠損率はゾンビ化の成功率とステータスの低さに繋がるからね。もしやるなら出来るだけ傷を付けずに殺す。
「…………グッ、グォオオ。(わ、分かった)」
僕が無言で見ていると、耐えかねた巨人は声を上げた。
「グォオ、グオォォォ。(お前の、従魔になってやろう)」
「あ、そう? 良かったなぁ、じゃあ行くよ……
僕の指先から迸った光が地面に埋まった巨人を包み込む。すると、それを受け入れたのか光は巨人の中に入り込んでいった。
《『称号:
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『称号:
[称号獲得時にSP、APを100ずつ取得する]
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
良し、クリア称号もゲットしましたと。
「はい、
「おー、早かったですね。流石ですネクロさん!」
因みに、
「じゃあ、早速だけど……
「グッ、グォオ? (つ、強くだと?)」
僕は何も言わずに巨人のステータスを開いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Race:
Job:──
Nameless
HP:515
MP:275
STR:425
VIT:602
INT:78
MND:452
AGI:121
SP:510
■スキル
□パッシブ
【HP自動回復:SLv.5】
【MP自動回復:SLv.3】
【炎属性耐性:SLv.2】
【高速再生:SLv.1】
□アクティブ
【咆哮:SLv.3】
【拳術:SLv.2】
□特殊スキル
【
■状態
【従魔:ネクロ】
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へぇ、結構良いじゃん。素で高速再生を持ってるのは特に良い。あれは50SPもするから出来れば自分では取りたくない。それで、510SPもあると。
特殊スキルは種族スキルと言われるその種族特有のスキルだね。どうやら、体のどこでも超高熱にできたり、鱗から熱風やら炎やらを吹き出せたりするらしい。他にも色々と能力はあるようだが。
「うーん、そうだね……魔法系はきつそうだし……」
INTが低すぎる。魔術は使えないと考えよう。
「あ、これとか良さそう。あと、これとこれも……」
「グッ、グォォ? (な、何をやっているのだ?)」
警戒する巨人を無視し、僕はSPを振り切った。
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Race:
Job:──
Name:グラン
HP:515
MP:275
STR:425
VIT:602
INT:78
MND:452
AGI:121
SP:0
■スキル
□パッシブ
【HP自動回復:SLv.5】
【MP自動回復:SLv.3】
【高速再生:SLv.3】
【炎属性耐性:SLv.2】
【斬撃耐性:SLv.2】
【打撃耐性:SLv.2】
【悪食:SLv.1】
【結晶化:SLv.1】
□アクティブ
【咆哮:SLv.3】
【投擲:SLv.3】
【拳術:SLv.2】
【跳躍:SLv.2】
□特殊スキル
【
■状態
【従魔:ネクロ】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……よし、こんな感じで良いかな」
振り分けの詳細を説明すると、先ず悪食を取った。これは食えば食うほどステータスが微量に上昇する成長する必須スキルだからね。
次に、結晶化と投擲だ。何故この二つを取ったかと言えば、こいつの種族スキル【
つまり何がしたいかというと、鱗を結晶化し、種族スキルによって温度を上げれば超高熱の結晶が出来上がるという訳だ。炎を吹き出す結晶の巨人とかそれだけでカッコいい気がする。
まぁ、ここまでだけならば更に防御力が上がっただけでしかないが、真価はここからだ。結晶化した部分は、例え削ぎ落としても術を解除するまでは結晶のままなのだ。
だから、鱗を一枚だけ結晶化して超高熱にし、それを体から剥ぎ取ればそれだけで超高熱の結晶の刃になる。更にそれを投擲すれば大抵の生き物は即死させられるし、相手が大型で一撃で死ななかったとしても体に食い込んだ結晶の刃は超高熱なので刺さった場所からジワジワと溶かしていく。
まぁ、簡単に言えば即席で超強力な投擲用の石を作り出せるということだ。
さて、後はオマケのようなものだが高速再生をSLv.3まで上げた。理由は簡単で剥ぎ取った鱗を一瞬で再生させるためだ。
次に、斬撃耐性と打撃耐性をSLv.2まで取った。高い防御力を活かすためのスキルだ。
最後に跳躍。お決まりのようなスキルだが、効果は強力だ。この図体の巨人ですら簡単に大跳躍することができる。低い機動力を補うスキルということだ。
「あ、それと君の名前はグランね」
「グ、グォオ。(わ、分かった)」
割と適当に付けた名前だが語感は良いので良しとしよう。
「じゃあ、グランは僕が呼びに来るまでこの森の中で自由に狩り続けてて良いよ。それと、君に与えられた力は理解できてるよね?」
「グォォ、グォオオォォ。(できている。突然ではあったがな)」
そっか、じゃあ問題ないね。
「うん。後は分かってると思うけど食べれば食べるほど強くなれるスキルもあげたから殺したら食いまくってね。……じゃ、メト」
「はい」
僕はメトを呼び、グランを指差した。僕の意図を察したメトはグランを埋め立てている赤い石をただの土に変化させた。
「ありがと。じゃ、グランもそれなら自力で出れると思うから。頑張ってね」
「グ、グォオ。(わ、分かった)」
因みに、従魔の位置は
「じゃあ、皆んな行こうか」
「ん? どこに行くんですか? もう帰るんです?」
不思議そうに尋ねるエトナを僕は笑った。
「あはは、まさかでしょ」
「じゃあ、どこに?」
僕は懐から地図を取り出し、ある地点を指差した。
「ほら、こっからちょっと行ったところにある……『昏き砂丘のカタコンベ』」
「え、ダンジョンに行くんですか?!」
「マスター、食料の用意は……」
心配そうな二人に対して、僕はヒラヒラと手を振った。
「大丈夫。僕は次元の旅人だよ? 次元の隙間に食料を入れとくくらい造作も無いことだよ」
「うーん、まぁ、暇になるよりは良いですよね! でも、流石に三人で落ち着ける時間が無さすぎるので、このダンジョンを攻略したら宿でゆっくりしましょうよ」
「うん、約束するよ。ダンジョンを攻略したらゆっくり休もう」
何とか二人を説得した僕は、ダンジョンに向かって足早に歩き出した。
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