第3話 ギャルゲで攻略できないキャラをそうそう覚えてるわけないじゃん?
「……それで、なんでこんなイカれた給料にしやがったんですか?」
わ〜、なんか安心するわ。……いやMとかじゃなくて。元に戻った的な意味で。俺別にMじゃないし。
「あ〜、先ず東青家のメイドに給料事情を聞いた。そしたら、かなりの高給取りだってことが分かってだな。」
「確かに、東青家……いや大公爵家のメイドともなればエリート中のエリート。給料が高いのは当然ですね。」
ドヤァ
「はいそこドヤ顔しない。君クビにされたでしょ。」
しゅん
……なんか、いいな。
「……元とはいえ大公爵家のメイドには、それなりの給料を払わなければ行けない。」
「それはそうですね。元の給料の半分とかだったら飛び出してました。」
……でしょうね。
「なにか?」
「なんでもありません。」
……口に出てないよね?怖っわ、超怖い。
「更に、俺の勝手で家に雇う以上それなりの誠意を見せないといけない。他家へ行くことも出来たはずのき……お前を一般人の俺が雇うのだから、当たり前だな。」
「おいなんで言い替えた。君でよかっただろうが。言い換える必要あったか?」
…………だって、ねぇ?
「なんでそんな当たり前でしょ。みたいな顔出来るんですか?張り倒しますよ。」
「俺主人だよね?雇われるって言ってたよね?なんでそんな罵声を浴びせられるの?」
まだ雇われてないから?……そりゃそうだわ(しくしく)
「…………で?」
「終わりだけど?」
「は?」
「いやだから、今ので全部。」
「……は?それだけのために、あんな法外な額を払うとか言ってんですか?アホじゃないですか。ほら、復唱してください。私はアホです。」
「へー、そうなんだ。」
ザッ(ルシアが立ち上がる音)
ダッ(立ち上がりルシアから逃げよう走る音)
ガッ(背後から肩を掴まれる音)
ガッゴキツボグッ(言葉にできない暴力を振るわれている音)
「……りぴーとあふたーみー。私はアホです。」
「……自己紹介?」
ザッ(ルシアがry)
「なにか弁解は?」
「あ……、ありま………せん。」
「宜しい。」
…………格の違いってやつを見せつけられたぜ。
「それでは、説明の続きを。」
「続きって言っても、もう言うことないぞ?」
「………………。」
「ジト目やめて刺さるから。心の奥底に刺さるから。呼び覚ましちゃいけないものが目覚めるから。」
「…………チッ!」
今舌打ちした?主人に向かって舌打ちした?
「…………まぁ、俺が払いたいんだ。受け取ってくれねぇか?」
「嫌です。」
「そんな殺生な。」
「……なんでそんなに出すんですか?」
「…………下ネタ?うちそういうの禁止なんだけど……。」
「真面目に答えてください。」
………………。
「ルシアに、うちで働いて欲しいから。」
「えっ……?」
「魔力欠乏症という生まれながらにディスアドバンテージを持つ身にして、元東青家メイド長という技能の高さ。そんな奴を雇うってんなら、それ相応のもんをたさねぇといけねぇ。」
圧倒的なディスアドバンテージをものともせず、大公爵家のメイド長に任じられるほどの人間。
どの家だろうが喉から手が出るほど欲しい人材だろう。
個人的に、魔力欠乏症のことも調べておきたかったし。
「それに、俺の周囲にイエスマンは置きたくない。ルシアなら、ちゃんと俺を止められると思ったから。だから、ルシアを家で雇いたい。東青家を勘当されたこの身だが、どうかうちで働いて貰えないだろうか。」
深深と、頭を下げる。
「……わかりました。」
ポツリ、ルシアはそう零す。
「……!本当かっ!?」
「但し、給料はこれだけです。」
そう言い、差し出したのは俺が先程言った額の、五分の一程。
「えっ?少なくない?大丈夫?」
「適正です、イカレ野郎。」
おいおい、遂に雇用主のことをイカレ野郎とか言い放ちましたぜこのメイド。
「むぅ、まぁ、雇われてくれるんならいいか……。」
最悪、特別手当とかで渡せばいいし。
「ちなみに特別手当等は認めません。」
……潰された。
「( ´・ω・`)」
「ダメなものはダメです。」
「ʅ( ・᷄֊・᷅ )ʃ」
「喧嘩売ってんですか?」
「(・ω・(ヾ)YES」
ザッ(ルシアが立ち上がる音)
ダッ(立ち上がりルシアから逃げよう走る音)
ガッ(背後から肩を掴まれる音)
ガッゴキツボグッ(言葉にできない暴力を振るわれている音)
「……す、すびばせんでした。」
「分かれば良いんです。」
と、とんでもねぇぞこのバイオレンス女子。
「……何か?」
「なんでもありません。」
……ヒェッ…。
ま、金受けとって貰えただけ御の字か。
本来は、そう簡単に受け取る子じゃないし。
彼女は、
彼女が東青家を解雇されたのは、恐らくだが峰華への嫌がらせだ。
要は俺の所為ってことだ。
それ以外にも、彼女は原作で一番の壱成の被害者と言ってもいい。
まだ何も起こっていないとはいえ、シナリオ以外のことは知らないし、過去に壱成が何もしていないなんて言いきれない。
願わくば、この先俺の所為で彼女が不幸になりませんように。
「……なんですか?」
おっと、黙りすぎたか。
「いや、なんでもない。改めてよろしく頼む。ルシア。」
「ええ、存分にこき使ってやりますよ。」
「それ俺のセリフじゃない?雇われる側の台詞じゃないよね?」
こいつはなんだかんだ、しぶとく生きながらえそうだな……。
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