第16話 ブラコンってリアルでいるのかな?

「…は?」

Englishは、目を点にした。それもそのはず。妹に事故られるとか、俺ダサすぎ…


「え、なんでそんな当たり前の顔してるの?え、え?」

Englishに、俺の日常はちょっと難しかったみたいだ。


「…English?」

学はその名前を聞くとハッとした表情をして、慌ててEnglishに向かい合った。


「ご、ごめんなさい!お兄ちゃんのお友達に酷いこと言っちゃった…!」

さっきまでの態度とは打って変わって、礼儀正しいモードに入ったようだ。


「あ、あの事故の時お兄ちゃんと女の子が歩いてると思ってつい、お兄ちゃんを轢いちゃったんだ…。Englishさんのことは、よく手紙でお兄ちゃんから聞いてたのに、勘違いしちゃって…!ごめんなさい!!」


俺はあの日、Englishと登校していた。それを俺を迎えにこようと車に乗っていた学は、彼女と一緒に登校していると勘違いしたのだ。それで、我慢できずにドライバーの首を絞めて車の方向を変え、俺の高校デビューを台無しにしたという訳だ。


「あの、え、僕男の子だって紹介されてるの?え?」

心外そうな顔をしているが、また女子だと言い張っているのだろうか?


「もー。Englishさんが女の子だったらどうしてくれようかと思ったー!」

ニッコニコで学は俺に抱きついてきた。Englishがめっちゃ震えてるが、寒いのだろうか。


「…あ、てことは他の人も女装男子?お兄ちゃん以外にこんなにたくさんいるのはレアじゃない?」

よかったね、と、学が俺に言ってくる。


「えっと、私女です。」

「はいはーい、私も女の子だよー!」

視線を向けられた文庫とウミンはそう言った。が、それは命取りだっ!


「は?お兄ちゃんから離れろよ。この社会のゴミが。」

ペッと唾を吐き出すと、また俺に抱きついてくる。


「…畏怖嫌厭」

「…え?」

文庫とウミンはあまりの対応の差に驚いている様子だ。


「お兄ちゃん、まさかあんなゴキブリとかと付き合ってたりしないよねー?」

学は、俺の目をじっと見つめてそう聞く。正直怖い。


「俺、彼女いない歴=年齢だから…。」

悲しいこと言わせるなよ。


「「「「だよね!」」」」

English以外の全員の声がハモった。Englishは、知ってると言わんばかりの顔をしている。なんか傷つくな。


「じゃ、皆さん。コレは私からの忠告なんですけどー。」

学は、教壇の前に立ち胸をはった。


「私、幼稚園の頃お兄ちゃんにお嫁さんにしてもらうって約束したから!お兄ちゃんは、私のものだからね!」

堂々と言ってはいるが、まさかその約束が高校生にもなって有効だとは思わなかったよね。

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