第15話 メンヘラとヤンデレの違いが分からん。
「あれ、
理科は、その青髪の少女に話しかける。
「んー。本能が。」
うーんと考え込みながら、そんな変なことを言う。彼女が数学担当?
「あ、スミスくん知らないよね。紹介するよ。この子が算数学。得意教科は数学で、あだ名はpちゃん。よろしく。」
理科は人が多く、緊張している彼女の肩に手を置き、そう言った。
「pちゃん…?」
文庫は、あだ名が気になるようだ。
「あ、動く点pからとったらしいよ。」
Englishは、同情の視線を彼女に向けていた。自分に通じるものを感じたのだろう。
さっきまで俯いていたその子は、不意に顔を上げた。バチッと、その子と目が合う。すると、その少女の青い目が大きく見開かれる。その瞳に宿されたのは、驚きか、それとも嫌悪か。いや、そのどちらでも無かった。
「そ、その青い目は…!」
先ほどまでちじこまっていたとは思えないほどの勢いで俺との距離を詰めると、彼女はこう言った。
「会いたかった…!お兄ちゃん!」
「「「「お兄ちゃん⁉︎」」」」
そう、こいつは俺の実の妹なのだ。
しかし、同学年である。なぜか?それは俺が4月生まれで、妹は3月生まれなのだといえば納得して貰えるだろうか。
「え、スミくん。妹って、あの、生き別れっていう?」
「あー、まあまあ。てきなてきな」
Englishも驚いているようだ。ま、俺も会うのは2回目だしな…。
その時、学は俺の方に寄ってくると俺を見上げて口を開く。
「お兄ちゃんに悪い虫がついてる…!なんで?なんで女の子に囲まれているの、お兄ちゃん?私がいるっていうのに…!こんなにも愛しているんだよ?ね、実の妹だけど、だからこそ良いってものでしょ?愛さえあれば関係ないでしょ?ね、その女誰…!?お兄ちゃんは私以外の女を半径10メートル以内に入れないでって言ったのに…!ほら、その手を離してよっ!」
学はEnglishの手と俺の手を引き離すと、俺と手を繋いだ。
ニッコリとしているその目にはハイライトが無く、みんなも無言になってしまった。
そう、学は重度のブラコンだった。それも、兄ガチ恋勢である。義理の兄弟とかではない。バッチリ血も繋がっている。
「あー、pちゃんのいうお兄ちゃんって、スミスくんだったんだ…。確かに変な名前同士だし、考えてみればそうか。」
理科先輩が納得しようとぶつぶつと呟いている。まあ、いつもだったらすぐバレるけど…。この学校は特殊なのがあと4人もいるしな。
「てか、Englishは学に会ったことあるだろ?」
「…あ、え、そうだっけ?」
ぼーっとしていたEnglishに声をかけると、ハッとしたように顔を上げ、首を傾げる。
「ほら、俺入学式の日に事故に遭って、全治一ヶ月だったじゃん。あの事故は学が起こしたものだからな。」
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