第14話 修羅場って、当事者じゃなければ面白い。
「おー、スミス君だー。どしたの、私に聞きたいことあるって?」
次の日の放課後、教室に俺、ウミン、文庫、English、理科先輩が集まっていた。
「ああ、噂は聞いたんだ。ウミンが誰かに刺されてその怪我をしたって。」
遠回しに聞くこともできたが、あえて直接的に聞いてみる。
「…ああ、そうだね。コレは事故で負った傷じゃない。」
骨折で動かない手を撫でながら、ウミンはそうつぶやく
「誰に、やられたんだ?」
「それは…。黙秘権を行使させてもらおうかなぁ。」
俺から目を逸らし、ウミンは黙り込む。
黙秘権を行使する。それはつまり、犯人の顔をウミンは知っていると言うことだ。庇うと言うことは、知り合いの可能性が高い。
「でも、理科には悪いと思ってる。犯人扱いされてるよね?」
ウミンがそう聞くと、理科先輩は無言で返す。肯定ということだろう。
「理科は私に危害を加えていない。でも、誰もそれを信じてくれないんだ。」
ウミンはそう吐き出すと、俺の方を向いた。
「ねえ、スミスくん。学年トップの貴方なら、私を刺した犯人を見つけられる?」
魅惑的な瞳で、ウミンは俺を見つめる。まるで、俺の心の内を探ろうとするかのように。
「まあ、無理だな。」
俺は探偵でもなんでもない、ただの勉強が好きな高校生だ。でも、
「俺だけじゃ、無理でも。もう心強い友達ができたんだ。」
後ろを振り向くと、Englishが俺の手を握ってきた。文庫も、ニッコリと俺に微笑み、理科先輩はカエルを俺に渡す。
…カエル?
「ねえ、理科先輩。今いいとこだったんですけど。」
「え、カエルは私の信用の証なんだけど…。」
だめだ、この人おかしい。
「と、とにかく。理科先輩の誤解を解くためにも、文庫の親友のためにも。俺は犯人を見つけるよ。」
そう、ウミンに告げる。すると、ウミンは、そっか、と呟き、
「さすが、私の婚約者なだけあるね。」
ドヤ顔で、勝ち誇ったようにそう言う。
…その設定まだ引きずってたんだ。
「ねえ、スミくんどういうこと?浮気?」
ニッコリとした笑顔でEnglishは俺を見る。繋いだ手に爪が食い込んできていて痛い。
「極悪非道…!」
文庫も俺の背中を国語辞典で突いてくる。意外とそれ痛いんだからな?
なんだか修羅場っぽいテンションなんだが、何?みんな俺のこと好きなの?
「りかりかいる?」
そんなことをして戯れあっていると、教室のドアが開いて女の子が入ってきた。
「あ、」
その青い髪をしたショートカットの女の子に、俺は見覚えがあった。
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