第10話 パフェおいしい。

「お帰り下さいませ!お嬢様!」

「ねえ、帰れって言われたんだが⁉︎」


普通に大手ファミレスチェーン店に行ったら、メイド喫茶みたいな挨拶されたし…。

「じゃ、こっちこっち。」

帰れって言われた横を普通に素通り(セグウェイ)していく理科先輩。

Englishと文庫もなんだか慣れた手つきでついていく(セグウェイ)


「…。」

その異様な光景に、俺は肩に乗ったカエルと見合わせた。


席に着くと、Englishと文庫がボックス席で向かい合ってドリンクバー飲んでた。

え、行動早くないか?


「スミくん、あのねあのね!理科のお父さんって、このファミレスの社長さんなんだよ!」

俺がEnglishの隣の席に座ると、嬉しそうに話し始めた。


「チッ…。」

なんか、今文庫の方から舌打ちが聞こえた…?


「あ、理科は今カエルを外に逃しに行きました。もうすぐ帰ってくると思いますが…。」

うん、さっきのは気のせいかな…。

あと、カエル連れてくなら、俺のカエルも連れてってよ。


「いやー、お待たせお待たせ!スミスくんも私(のお父さん)の奢りだからジャンジャン食べてっていいからね!」

「…理科先輩、社長令嬢だったんですね。」

全くそうは見えないけど!


「え、スミスくん。私がお金の力無しにして、あの学校で退学にならないとでも?」

「…たしかに!すごい説得力がある。」


あんだけ理科室好きに使って、セグウェイ乗り回してたら普通退学だ。

あ、さっき帰れって言われたのもほぼお家芸みたいなものってこと?


「やー、アタシ友達によく(お父さんのツケで)奢っちゃうから、怒られるんだよね、この店くると。」

さっきのはマニュアル通りの対応だったのかもしれないな…。

てか、現在進行形で怒られることしてますけどね?


「いつもありがとね、理科!」

「いつもご馳走になってます。」

Englishと文庫はちょっとは遠慮しろよ…。ん?


「お前ら…元から仲良しだったのか?」

「え、そうだけど?」

Englishが、さも当然のように答える。


「理科は七不思議の研究しているので、当事者の私たちがよく呼び出されてたんですよ。」

文庫が話を補ってくれるからありがたい。


「折角話に付き合うなら、ご飯奢ってもらおうと思って!」

コイツ男だからよく食べるんだよな…。大丈夫なのか、理科先輩のお父さん。


「ちょっとは遠慮しろよ。な、文庫もなんか言ってくれ。」

「あ…。」

文庫の机の上には、ピンク、オレンジ、黄色とカラフルなパフェが既に沢山並んでいた。


「なあ、理科先輩が怒られてるのって絶対にお前達のせいだと思うんだが。」

「そんなこと言わないで、スミくんも食べよーよ!」


Englishがあーんしてくるパフェを一口食べる。


「…うま。」

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