第6話 変な名前
「狙われてるって…。高校生でそんなことある…?」
ふと、この前のウミンとの会話を思い出す。
…恋愛のもつれ。
「あるかぁ…。」
「!?」
なんか、Englishが反応した気がするがきのせいだろうか?
「昨日、包丁でやられたらしくって…。体育の時間も、靴に細工されてたから多分犯人がいるかと。」
文庫は、今までのは何だったんだとツッコミたくなるほど落ち着き払って言った。いや、誰だよ君。
「で、あの子が今疑われてるんです。」
文庫が指差す先には、セグウェイに乗って、頭にカエルを乗っけている女の子がいた。
「あ、アイツ怪しすぎるでしょ。」
「…えっと、アレ理科ちゃんじゃない?」
ようやくまともな名前(比較的)が出てきたと思ったら、見た目がヤバかった。
緑髪の外はねショートボブに、白衣を着ている。それでセグウェイ…。作ったのか?で、カエル三匹頭に乗ってるし…。
「あ、こちらに来ましたね…。」
ウィーンという音を立てて、こちらにやってくる。これは新手の嫌がらせである。女の子に対して、こっちくるなと思ったのは流石に初めてだ。
「…あんたがケアレ・スミス?」
「…そうですけど。」
なんで知ってるんだよ…。あ、俺の名前が珍しいからか。
「アタシの名前、サイエンス理科。よろしく。 」
「いや、珍しい名前じゃん!」
「…は?」
「ごめんなさいなんでもないですすみません。」
なんか、すごいドスの効いた声だった…。よく見たら二年生じゃん…、先輩じゃん…。
「あのー、何か用でしょうか…?」
Englishが、俺と理科先輩の間に立ってくれる。これは…庇ってくれているのか?
やっぱり、Englishは男らしいところあるよな!さすがっす!
「いや、なんか実験台に良さそうで見にきただけだけどね。じゃ、スミスクン?またねー。」
ヒラヒラと手を振って、去っていく理科先輩。…セグウェイさえなければその背中はカッコいいのに…。
「で、あの子が、疑われてるんですよ。ウミンを怪我させた犯人だって。それで教室の雰囲気も悪くって…。」
シュンとした表情で文庫は落ち込んでしまった。
「えっと…。なんで理科先輩が疑われてるわけ?」
ここは慰めるためにも、詳しく様子を聞く必要があるようだ。
「それは、まあ理科の実験のせいでもあるんですけど…。」
なんだか気まずそうな顔をする文庫。
「あの子、髪の毛緑じゃないですか。アレ、実験で失敗してあの色になったんですよ。で、前の髪色はピンクで…。それも実験でやっちゃったといいますか…。」
ああ、珍しい色だと思ったらそういうこと?
「で、セグウェイにカエルなので、変人だと思われてて。それで、なんか怪しいから犯人じゃね?って…。」
実験のモルモットにされたとでも思われているのだろう。
これは、俺の手には負えない仕事だな。
目線でごめんむりと、文庫に謝った。
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