◆重ねた時間◆
美桜が俺と『一緒にいる』と言った日から月日は流れ、一緒に迎える3度目の春。
美桜は親父との約束通り聖鈴の高等部を卒業した。
その日、美桜の卒業を祝うために聖鈴の校庭には溢れんばかりの人が集まった。
卒業式を終えて校庭に出てきた美桜は驚いたように動きを止めた。
集まった人を見渡し嬉しそうに笑って一粒の涙を流した。
傍にいた同級生に肩を叩かれた美桜は涙を拭い、在校生が作る道を歩き始めた。
たくさんの友達に囲まれ、後輩から貰ったたくさんの花束を抱えて、顔を上げ、しっかりと前を見据え毅然と歩いていた。
美桜は簡単にこの日を迎えた訳じゃない。
それは俺が一番知っている。
たくさん泣いて。
たくさん笑って。
たくさん悩んで。
目の前にある幾つもの壁を乗り越えてきた。
この毅然とした美しさは美桜がいろいろな経験を経て自分で手に入れたもの。
眩しいくらいの笑みを浮かべる美桜を俺は目を細め誇らしい気持ちで見ていた。
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