♡第4話♡ ようやく捜査開始!!
「殺人事件の、調査?」
怒涛の自己紹介のあと、コペニュとサーニャは庭のベンチで一休みしていました。
学園が誇る広大な花畑を一望できる庭、その中心には、創設者である伝説の魔法使い、『アリア様』の銅像が、堂々と剣を天に掲げています。
「そうそう。ほら、私って最強じゃん? だから頼まれちゃったんだよね〜。はぁ〜、才能があるって大変だわ」
嫌ならやらなくていいんですけどね。
「す、すごいですね」
「でしょ〜。あ、てかタメ口でいいよ。そりゃ私の方がパーニアスだけど、同級生なんだし」
「パーニアス?」
「完璧(パーフェクト)な天才(ジーニアス)。まさに私のことよ」
「な、なるほど……」
「あぁ〜ん神よ。どうして私を最強美少女として産んでしまったの〜?」
「あ、あはは」
空気感についていけずに困っちゃってるじゃん。
この2人、卒業する頃には友達じゃなくなってそうです。
ありますよね、最初に話しかけてもらった人とつるむけど性格が合わず別の子と仲良くなる、みたいな。
ちなみに私が入学したときの最初の友達は、私から好きな男子を奪ったあのおっぱいのデカい女でした。ぐやじ〜ッ!!
「羨ましいな。私は、へっぽこだから」
「でもずっとへっぽこなわけじゃないでしょ?」
「へ?」
「私が天才なら、サーニャは秀才になればいいってだけじゃん。肝心なのはこれからだよ。ダイジョブダイジョブ」
「コペニュちゃん……」
案外良いところがあるのが余計にムカつきますね。
「あ、ありがと」
「サーニャが秀才になるのが先か、私が事件を解決するのが先か、勝負ってとこね。まあ、結果は見えてるんだけどー」
「事件って、私たちが入学する前に起きたやつ、だよね? 聖堂で、聖女さんが刺されたって」
「ねえ、聖女ってなんなの?」
知らないで引き受けてたのかよ。
「え!? あ、えっと、神様に選ばれた、魔法とは違う力を持つ人、だよ」
「ふ〜ん」
もっと興味示さんかい。
魔法の発動には、習得と、修練と、魔力が必要になります。
しかし聖女の力は生まれ持ったもので、魔力を消費する必要もありません。
その力は『魂』に干渉するものが多く、私の場合は、幽体離脱が可能でした。
肉体から霊体を分離し、好きな場所へ飛んでいけるのです。殺されても幽霊として存在できているのも、その力のおかげなのです。
ほかには、魂を操作し相手を洗脳したり、対象の過去を覗いたり、なんだり、聖女の力は様々です。
一応、魔法でも似たような真似は可能ですが、精度は遥かに劣ります。
ただ聖女は神の力を持っている代わりに、魔法が一切使えないので、世間的には多種多様な力を発揮できる魔法使いのほうが重宝されています。
「犯人の目星はついてるの?」
「いいやまったく。でも、どうにかなるっしょ」
じゃあさっさとどうにかしろ。
「ほんじゃま、とりあえず事件現場に行ってみますか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
聖堂につくなり、コペニュは辺りをキョロキョロと見渡しはじめました。
「どう? コペニュちゃん」
「う〜ん」
こんなんでわかるならとっくに犯人捕まってるつーの。
アホみたいな捜査をしていると、別の女生徒が聖堂にやってきました。
鋭い目つきに、長く美しい銀色のポニーテール、腰に差した剣。まさにクールビューティーって感じの女の子です。
少女はコペニュたちに目もくれず、神に祈りを捧げ始めます。
キレイな新品の白いローブを着用しているので、おそらく1年生でしょう。
「ちょっとあんた」
不躾にコペニュが話しかけます。
真剣に祈っている相手を邪魔するんじゃないこの無礼者!!
とうぜん、少女はコペニュを無視します。
「ここで起きた事件について知ってる?」
いや無視されたんだから諦めなさいよ。
と、少女が面を上げました。
「事件?」
「殺人事件。私、調査してるんだよねー。天才だから」
「お前、みたいなのが?」
コペニュを睨みながら、少女が立ち上がります。
なにやら不穏な空気。
「ありえない。あの事件の犯人は、私が見つけ出す!!」
などと、意気込まれましても。
いったいこの少女は何者? 私のファン、ってわけではないですよね? 学校から頼まれたのはコペニュだけでしょうし、何故そんなに熱が入っているのでしょうか。
少女が剣を抜きました。
「手を引け。あの事件は、お前如きがどうこうできる問題じゃない。これは忠告だ、お前の身を案じての」
「言ってることとやってることが違くない?」
「安心しろ、気絶させるだけだ」
「いいよ、じゃあ勝負で決着つけよう」
おいおいおいおい、喧嘩っ早いな。
なんなの今年の新入生。なんでこんな血気盛んなの?
あれか、誰がこの代を仕切るのか決めたくなっちゃうヤンキー的なやつか。
前にどこかで聞いたことがあります。ヤンキーが集う学校の登校初日は、必ず警察沙汰になるって。
いやいや、うちはそういう学校じゃないですから。伝統と誇りを重んじる由緒正しい魔法学校ですから。
「ちょ、コペニュちゃん、ここ聖堂だよ! 先生に怒られちゃうよ!!」
サーニャが止めに入りますが、場所の問題じゃあないんですよね。
「へーきへーき」
なにが平気なんだよ。
「いつでもかかってらっしゃい!」
強気に宣言した直後、少女が斬りかかってきました。
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