第2話 フード男
大学入学後、
適度にアルバイトと交友関係を保ちつつ
学業、とりわけ語学に力を入れた颯
季節は瞬く間に夏を迎え、
いよいよ出発の日がやってきた。
颯「母さん、いってくるね」
母「気をつけていってくるのよ。現地に着いたら、いったんLINE入れるのよ」
颯「もちろんだよ!母さんもおばあちゃんのことよろしくね!」
母「いってらっしゃい!いっぱい経験値ゲットしてきて」
颯「もちろん!今回の費用、少しばかり助けてくれてありがとね!無駄にしないよ!」
母「ほら早くいきなさい笑」
ドイツのフランクフルト行きの飛行機は、無事に離陸することに成功した。
ドイツの田舎町での二週間のボランティア。
飛行機のエンジン音が胸に響き渡り、俺の興奮はさ今まさに最高潮だ。
ドイツでは、地元の観光地のぼろくなったところを修復する作業をする。
現地のドイツ人リーダー二人とその他各地から俺みたいにやってくる人たちが、
総勢十四人くらい集まることになっている。
日本人は、おそらく俺だけ。
説明会では、友人同士で繰り出すって子たちが多かったけど、
それしちゃあ俺の目的が達成されない。
俺は、ボランティアをしてドイツの数百人の住む田舎町の人たちに感謝されることだけじゃなくて、それを通して度胸のついた男に成長するために行くんだ。
改めて、やる気と情熱で胸がいっぱいになる。
飛行機は無事にフランクフルト国際空港に到着。
空港近くのホテルに宿泊しに真夜中の通りを一人スーツケースを転がす。
遠くの街頭からゆっくりと確実にこちらに歩み始めたフードの男がいた。
本能が自然と危険だとアラートを出す。
偶然真横にあったエレベーターを使用して地下鉄から地上へ浮上。
駅から通りを跨いだ先に目的のホテルがあった。
足早に駆け込み、ホテルでチェックインした。
受付で説明を簡単に受けた後、ふと外の様子を伺うと、いた。
そのフード男は、俺と目が合うとそそくさとまた暗闇に姿を消した。
本格的な旅の始まりを恐怖と同時に感じた、実質ドイツでの初日だった。
だが俺は確信した、度胸がつく、この旅を通して。
それもとびきりに、と。
興奮冷めやらぬうちに俺は、スーッと寝込んだ。
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